空き家問題について考えてみた [2]

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以前、こんな記事を書きました。

空き家問題について考えてみた

空き家問題について考えてみた自邸の計画を考えるうえで、避けて通れない固定資産税。新しく建てる家のものだけならまだしも、もし将来、さらに4つの土地や建物を相続して、管理し、税金を納める必要が生じたら……

今日のエントリーは、この続編(的なもの)。

空き家問題を生じさせている理由の一つでもありますが、日本人は世界の傾向と比較すると「異様なまでに新築好き」と言われています。ここ鳥取でも、例えば若い夫婦が(僕たちは若くはありませんが…)自分たちの家を持つと言うと、新築の戸建てかマンションを想像する人が多いですし、実際にそうする人も多いと思います。
参考記事:Google

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なぜ、僕たちは新築が好きなのか?

僕もキャンプハウスのことを考え始めた時、真っ先に思い浮かべたのは、やはり新築のオートクチュールの家でした。

僕たち日本人がなぜ新築の家が好きなのか、ネットで少し調べただけでも、識者の方々の様々な考察を読むことができます。

  • 日本人の昔からの家に対する価値観
    かつての木造のチープな作りの住宅(民家)は火事などで焼失することが多く、「家は壊れたら建て直すもの」という考えが染み付いている
  • 土地にお金がかかり過ぎるため、家は消費財扱い
    新築の家を建てる際にセットで必要となる土地の価格が高いため、予算に占める割合が高くなる。そのため耐用年数の長いしっかりした家が建てられない
  • 修繕しない(できない)
    消費財として捉えているため、修繕資金を貯め(られ)ない。修繕する場合も壊れた箇所を最低限直す、といった程度にとどまることが多い
  • 長期的に魅力を高めていくという発想が少ない
    新築の状態が「最高」なのでそれを維持するという発想。住んでいる期間、個人的な愛着は深まるが、資産価値を高めていくという発想がない(市場にも所有者にも)
  • 以上の悪循環(まとめ)
    業界主導による新築至上主義が蔓延。洗脳された消費者が新築購入 → 資産価値は入居直後から低下 → 故障の修繕が精一杯で、資産価値を高める工夫(発想)がない → 資産価値低下(市場も評価するつもりがない) → 中古住宅市場が形成されず、また新築が建てられる

これが正しければ、日本人の価値観に加えて、構造的な問題に起因しているようですね。

とはいえ、こんなデータもあります。以下は国土交通省の調査「持家への住み替えにおける住宅の取得方法(平成25年)」からの抜粋ですが、

新築 中古
平成10年 77.7% 17.1%
平成25年 60.7% 26.7%

中古住宅を購入した人が、56%も増加しています。5年ごとの調査のようですが、傾向を見ると、次の平成30年の調査では中古の割合のさらなる増加が予想されます。
出典:国土交通省「平成25年 住生活総合調査(速報集計)結果」52P/173P

中古住宅を選ぶ人が増えている理由

同じ調査の中で、もっと大きく変化しているものがあります。「今後の居住形態(持家・借家)に関する意向」というデータです。

新築 中古 こだわらない
平成15年 69.3% 6.2% 24.4%
平成25年 55.9% 13.9% 30.2%

新たに住み替える居住形態について「新築が良い」と答えた人が10年前と比べて20%以上減少しているのに対して、「中古の住宅が良い」と答えている人が124%も増えています。この傾向は内閣府の世論調査や不動産流通機構のデータを見ても同様です。

この理由もネットで様々な考察を読むことができますが、まとめると以下のような内容です。

  • 取得コストが安い
    一般的には、新築よりも20%以上コストダウン(同じ地域にある同じ規模、条件の戸建て住宅やマンションと比較して、という数字と思われます)
  • 中古物件の流通量の増加に伴い、市場に優良物件が増えた
    人は減っているのに、家やマンションがどんどん建てられるので総住宅数が増え、結果、空き家率も上昇(13.5% 平成25年・総務省統計局
  • リノベーションの認知向上、広がり
    テレビや雑誌などで、中古物件のリノベーションが紹介されることが多くなった。水回りの交換といった小規模な修繕ではなく、抜本的に空間を変えることができるという情報は、中古物件の購入促進に寄与している

他にも「補助金や減税などの優遇制度の拡充」や「住宅ローンが使いやすくなった」といった意見もありました。

個人的には、「優良(魅力的な)物件が増えた」というのが大きなポイントである気がします。商品(物件)や市場がないと情報が生まれず、一般の人は興味を持つことすらできないからです。

ただ、近年のメディアによる露出や地方自治体の絡みは、国の動き(*)の影響によるものも大きいと思われ、自然な市場形成の結果、発信されたものではないケースが多いような気がしていますが、そこに暮らす人が満足して幸せなら結果オーライです。
*国土交通省「中古住宅・リフォームトータルプラン

しかし、鳥取には中古物件がない

僕たちがキャンプハウスを建てるにあたって、先にも書いたとおり、これまで新築をメインで考えていました。

僕たちの選択肢としては、

  1. 新しく取得した土地に、新しい家を建てる
  2. 新しく取得した土地に建っている家をリノベーションする
  3. 親族が暮らしている土地に、新しい家を建てる
  4. 親族が暮らしている土地に建っている家をリノベーションする

の4つがあるはずですが、3と4の土地と家は親族が今も使用しているため、現時点での選択肢になりえなかったからで、2については、「これは!」という物件がない、というのが現状です(その後、固定資産税に関する問題に直面し、選択肢1も消え、今は選択肢ゼロの状態になっております T_T;)。

そう、鳥取は中古物件がないのです。

以前は、不動産会社のHPを見て、時々トム(妻)と物件を見に出かけることもありましたが、決まって落胆して帰る、そんな日々。

正確には中古物件は少しはあるんですが、「この土地の! この家を! リノベーションして暮らしたい!」と強く思えるものが、全く見つからないのです。先の「中古物件を購入する人が増えている」というデータが、全く感じられない状況なわけです。

市場がないから中古物件が売れないのか、中古物件が売れないから市場がないのか。ニワトリと卵の話になってしまいますが、いずれにせよ、これほど空き家が問題になっているのに、地方都市鳥取ではほとんどと言っていいほど市場が形成されていないし、形成しようという働きかけ、動きもないようです(リノベーションスクールなど、旧市街地を中心とした空き家活用の動きはありますが、地域や効果が限定的と思われるものが主です)。

これは僕の想像でしかありませんが、ここ鳥取で「中古物件に(リノベーションして)住む」という選択肢を取る人は、「もともと住んでいた家がある」か「タダ同然で得た物件がある」という条件に限定され、中古物件市場から探して購入するという人はごくごく僅かではないか、そんな気がします。

資産としての家づくり

東京に暮らしていた頃、友人たちがマンションを購入する際に必ず話していたのは、マンションと土地の資産価値です。

もちろんそれは、取得時の価値(=購入価格)ではなく、株のように、将来の価値のことです。将来、家族構成が変わったりして、住んでいるマンションが不便になった場合などはそこを売却し、便利の良い別のマンションを購入する、といったことを想定、検討していたわけです。

ふつう僕たちは、数年後に価値が半減すると思われる金融商品に大金をつぎ込むことはしません。10年後には10%か15%、あわよくば50%、資産価値が増えていることを希望(妄想)して投資し、運用します。

しかし、自分が住む家(不動産)については、このロジックを適用しません。例えば3000万円で購入した物件が、10年後には1500万円、20年後には1000万円になっている可能性が高いとしても、あまり気に留めないのです(もちろん、僕も含めて)。

ここ鳥取で、家またはマンションを資産として考え、そこに暮らしながら運用していく=価値を高める家づくりをしていくとはどういうことなのか

正直、僕もノーアイディアです。

しかし、この田舎町で中古住宅市場を広げていくには必要な考えのような気がしますし、キャンプハウスを新築にするにしろ中古にするにしろ、少なくとも自分の子どもにとって価値ある資産にしなければ、前回の記事の問題をさらに膨らませた状態で彼らに受け渡してしまうことになりかねません。

これについては継続して考え、また記事にまとめてみたいと思います。

扉絵 出典:国土交通省「平成25年 住生活総合調査(速報集計)結果」

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aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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2件のフィードバック

  1. six lines より:

    初めてコメントさせていただきます。
    運用可能な資産として自宅を購入するという意識が私たちにない以上、それはつまり自宅を消費財として購入するということになるのでしょう。
    いつか自宅を売却する、あるいは相続する、いずれにせよそこに資産としての価値がなければ意味はありませんし、一般人の人生における最大級の買い物である自宅にこそ、そうした着眼点が必要だということは分かります。
    しかし地方都市では、いわゆる路線価のような不動産価値に重きを置いて土地を購入する人は非常に少ないと思われます。
    貴殿が指摘されているのは、その事実を踏まえ、いわゆる上物である家屋に価値が高まるような施策が必要ではないかという提案だと思いますが、非常に難しい問題ですね。
    長文、失礼いたしました。

    • aw より:

      six linesさん、コメントありがとうございます!
      僕もこの記事を書きながら、とても難しい話だなあと改めて感じた次第です。キャンプハウスというアウトドアなブログを書いているからというわけではないのですが、鳥取のような自然の多い町の場合、いつスラム化するか分からない市街地、住宅街よりも、多少不便な場所であっても、自然が豊かで美しい場所にしっかりとした家を建てるほうが、将来的に価値が高まるような気がしています。それは一般の不動産市場での価値というよりは、もっとニッチで特殊なマーケットになると思いますが。

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