米国アイオワ州に行ってきた
10月の終わりから11月のあたまにかけて、およそ10日間、アメリカはアイオワ州に行ってきました。
前半はWORLD FOOD PRIZE(世界食糧賞)への参加、後半は同州の農家や物流施設を視察するファームツアーを執行するためです。簡単に言うと仕事、出張ですが、この旅の記憶をつれづれなるままに、備忘録的に書きつけてみます。
WORLD FOOD PRIZE(世界食糧賞)
WORLD FOOD PRIZE(世界食糧賞、以下WFP)と聞いても、ピンと来る人は少ないのではないでしょうか。僕も今回参加することになって、この賞の存在をはじめて知りました。
世界食糧賞(せかいしょくりょうしょう、World Food Prize)は、世界食料デーに因み、食料問題に多大な貢献をした人物に対して、 アメリカ合衆国のWorld Food Prize Foundationが授与する賞。1986年にノーマン・ボーローグによって創設された。
授賞式は毎年アイオワ州デモインのアイオワ州会議事堂で行われ、同時に、世界食糧賞国際シンポジウムが開催され、世界の飢餓と食料の安全保障に関連するテーマが取り上げられる。—出典:Wikipedia
なぜ僕がWFPに参加することになったのか、仕事の核心部分についての説明は割愛します。
WFPが開催されるデモインはアイオワの州都で、人口60万人ほどの都市。僕の暮らす鳥取県の人口よりも少し多いくらい※1ですが、街には人の姿はありません。
みなさん、移動はやはり車ですかね
WFP期間中は、シンポジウムの会場となったアイオワ・イベントセンターに直結するヒルトン・デモインに滞在。
僕が予約しようとした時には、比較的安価な部屋はすでにWFPの参加者たちによって抑えられており、一人で泊まるには広過ぎ、そして高い料金を支払う必要のある部屋しか残されていませんでした(涙)。
散らかった部屋でスミマセン!
まあ、のんびりできてよかったんですがね。
下の写真は、WFPの授賞式が行われたアイオワ州会議事堂。5つのドームのうち中央のそれは金色に塗られており、非常に目立っていました。
そのドームの内部はこんな感じ。
州会議事堂の内部は非常に重厚且つ絢爛でした。こうした施設に立ち入る機会というのはなかなかないでしょうから、とても良い経験になりました。
ちなみに、ここで執り行われた授賞式の様子はこちらから視聴できます。そして僕もこの会場のどこかにいます(娘に「コレ、お父さん」と教えたら「絶対分からん!」と言ってましたが)。
WFPの会期中は毎晩パーティや会食が開催され、非常に賑やかで華やかで、まあまあ疲れる日々でした(笑)。
アイオワ州会議事堂で開催された授賞式後の立食パーティ
デモイン滞在中はWFPの会場とホテルを行ったり来たり、あとはお店で数回の食事をしたくらいで街を堪能するといった感じにはなりませんでしたが、アイオワにはまたいつか来そうな予感がするので、その時はゆっくり街歩きでもしてみたいですね。
もう一つの宿
WFP終了後は、日本からやってきた農家たちと合流し、アイオワ州の農家を視察するファームツアーに同行しました。
ツアー参加者と一緒に泊まったのは、寝室が6つ、バスルームが5つ、リビングが2つ、キッチンとダイニングが2つあるような大きな家。
ツアー参加者とは渡米前にオンラインで挨拶した程度だったのですが、キッチンやリビングなどを共有する宿に数日間泊まって寝食をともにし、日中も一緒に行動していると仲良くなるのは自然の理でして、帰国する頃にはとても仲良しになっていました。親睦を深めたい時はこうしたシェアタイプの宿泊施設がいいですね。ホテルに泊まるのもいいですが、僕はこちらの方が好みです。
アイオワの農業
農場視察ツアーについても簡単に触れておきたいと思います。
アイオワ州は全米でも有数の農産物の生産地帯で、穀物ではトウモロコシや大豆、牛や豚の酪農が特に盛んな地域です。
僕たちが訪問したのは、上述のようないわゆる「農業」を行いながら、トウモロコシを原料とするバイオエタノールの精製プラントを共同出資で建設・運営していたり、環境負荷を下げてカーボンクレジットを獲得しつつ効率性や収益性を高めるためのコンサルティングを提供する企業を経営するなど、アイオワ州の中でもこうしたユニークな活動で注目を集めている農家たち。
僕の海外出張はたいてい農村が訪問・滞在先で、ブラジルや欧州などで見た田畑の風景はとても美しく思わず見惚れてしまうのですが、それはアイオワでも同じでした。
また訪れた農家たちの家もとても綺麗でかわいらしく、一般にイメージするアメリカの家そのままという感じで、みんな「ここに住みたい」と思わずため息をついてしまうほど。
聞けば「100年以上前からの家をリフォーム、増設するなどして代々暮らしている」とのこと。我が家は築60年程度でガタガタ&ボロボロなわけですが、この違いは一体……。
サンドイッチ
以前の旅記事にも書きましたが、僕は海外出張の際、出発時間の3時間前には起床し、早めに食事をとってトイレを済ませ、体調を整えておくのが自分に課した掟です。
ファームツアーとなると日中の行動はトイレのない屋外であることも多いですし、食事が日本にいる時のそれと大きく変わってしまうことによる体調不良の懸念もあり(幸いなことに大きく体調を崩したことは過去にないですが)、とにかくこのルーティンは僕にとって重要なのです。
これまでの旅では、サトウのごはんやインスタントの味噌汁を日本から持参して朝ごはんにしていました。今回はスーパーで材料を調達し、毎朝サンドイッチをつくりました。
ハムやサラミ、チーズをたっぷり使ったサンドイッチ
スーパーマーケットには、多種多様なチーズやハム類(サンドイッチの具材としてすぐに使えるようなサイズや厚みでカットされている)、数日では消費しきれない量のサンドイッチ用のパン、ピクルスやソースが目移りするほどの種類が置かれていて、僕にとっては正にパラダイスでありました。
毎朝暗いうちから起き出して、しこしことサンドイッチを作っていたわけですが、それが楽しみ過ぎて夜ワクワクしながら眠りについていたくらいです。
チップ
さて、アメリカといえばチップ。どんなお店、どんなサービスを受けた時にチップを支払うべきか。ものすごく久しぶりの渡米となったため、関連する記事を少し読んでおきました(一部を文末に掲載)。
日本にはチップの文化がないので、はじめてアメリカに旅行する人は事前にチップ事情を学ぶ必要があるわけですが、Web上で見かける情報には「揺らぎ」があると感じます。チップは強制ではなく任意、善意、マナーといった説明をしているものもあれば、ある種、義務のように説明しているものもあるのです。
レストランで食事をして代金を支払わなければ無銭飲食でしょっ引かれるのは当然として、しかしチップを支払わなかったとしても法律を犯すことになるわけではありません。だから説明としては前者、つまり任意であり、善意であり、マナーであると理解しても間違いはないのかも知れません。
しかし今回僕が読んだなかで「これを基本にしよう」と考えたのが、以下のものでした。
「チップはよいサービスをしてくれたことへの褒章だから、期待に見合ったサービスが受けられなかった場合には、少なくて良い。」という、誤った常識を持っている日本人が多くいる。ここアメリカでは、チップは労働賃金の一部であり、15~20%は彼等が受け取る当然の権利だ。だから、個人の主観で金額を変えてはいけない。チップを受け取る部署で働く従業員は、その分、給料が低くなっている。彼等の家計を支える主たる収入はチップなのだ。—出典:ホテリスタ
日本人はチップの支払いを失念したり渋ることが多く、「日本人はとにかくケチ」といった話もネットのあちこちで目にします※2。日本人客にはあらかじめチップの金額を書いた伝票を渡す店もあるようで、これはもはや個人の問題ではなく、日本人全体に対する評価を落としてしまう(しまっている?)可能性があるようです。
他方、今回ツアーを一緒に回った農家さん、通訳の方などは、空港から宿までの移動で使ったUberのドライバーに高額のチップ(乗車賃と同額)を要求されたようで、そういう話を聞くと、支払う側の僕たちもモヤモヤしてしまうのもまた事実なのですが。
個人的には、”When in Rome, do as the Romans do”(郷に入れば郷に従え)で、むしろチップ文化を楽しむくらいの気持ちの方が、アメリカでの滞在を楽しめるのではないかなと思います。
チップ用に多めに持っていた1ドル紙幣
サマータイム
もう一つ、チップと並んで我々日本人に馴染みのないのが、サマータイム(Daylight Saving Time)。
アメリカでは11月の第一日曜日がサマータイムの終了日にあたるとのことで、滞在中の11月3日午前1時59分に1時間、時間が巻き戻されました。寝ている間のことですし、スマホやスマートウォッチは自動的に調整されるため、当日起きてしばらく気づかなかったのですが。
同じアメリカでも州によってサマータイムを導入していない州もあり、往来する際には確認・注意が必要になるようです。ややこしいですな。
少し話は変わりますが、僕が滞在した10月末から11月初旬、アイオワ州の空が明るくなるのはだいたい午前8時ぐらいでした。朝、空が明るくなる時間は場所や季節によって大きく変わると思いますが、これも僕の中では違和感を感じる要素の一つで、渡米当初、なかなか空が明るくならないことになんとも言えない感情を抱きつつ朝の時間を過ごしていました。
朝8時頃に撮ったホテルの窓からの景色
旅の道具
今年に入って3回目となる海外出張。荷造りも慣れてきました。
ただ、これまで使っていたスーツケースはかなりコンパクトなサイズのもので、さすがにこれじゃ無理があるということで、同じ製品の一番大きなサイズのものを購入し、使用しました。
左が60L、右が新しく買った91LのTRUNK CLOSET
新たに買い足したスーツケースは容量91Lと、以前から持っていた60Lサイズのものと比べて1.5倍なので楽勝と高を括っていました。がしかし、嵩張りがちな撮影機材に加え、WFPで着用するスーツや革靴などが荷物に含まれていたこともあって、結構苦戦しました。
「大は小を兼ねる」で、より大きなスーツケースを買うこともできるわけですが、大きければいたずらに荷物が増えることは目に見えています。荷物を取捨選択し上手にアイテムを選びながら、当面はこの2つのスーツケースを利用していく所存です。
で、僕が「持ってきて良かった〜」と心底実感しているアイテムがこの2つ。
海外のホテルだと湯沸かし器が部屋にない場合も多いので(実際、今回利用したヒルトンの部屋にはコーヒーメーカーはありましたが、電気ケトルのような湯沸かし器はありませんでした)、湯沸かし器はなにかと重宝します。下系の話になってしまいますが、沸かしたお湯を携帯ウォシュレットで使うことでQOLが爆上がりするのです。
ゆえにこの2つのアイテムは僕にとって本当に欠かせないコンビとなっておるわけです。
おまけ
お土産には、宿の近くにあって食材の買い出しに使ったTrader Joe’sの買い物バッグ、ウォルマートで買った体に悪そうなお菓子などを書いました。
そのなかで、気になって自分用に買ったものがいくつかあったんですが、そのうちの一つ、PAYDAYが僕の好みにドンピシャでした。
楽天などで買えますが、とても高い😭
僕の好きなお菓子のなかで、永遠に玉座に居座り続けるかに思えたスニッカーズ、一時的にその座をPAYDAYに奪われております(笑)。
- デモインの面積は221km2、鳥取県は3,507.03km2。人口密度は936.6人/km2、151人/km2とかなりの差があります。
- 関連して思うのは、日本人は寄付とかも本当に少ないですよね。先日ポリオワクチンの寄付を募っていたので1000円を募金箱に入れたら「えええ!」と驚かれました。日本てそんな国なんですよね……
参考記事
- HanaCell「アメリカでチップをスマートに払う方法を解説|払う場面・理由・金額相場など」
- ホテリスタ「チップの起源」「枕チップなど必要ない?」「チップの誤った常識」
- SchoolWith「アメリカでのチップ事情まとめ。在住経験者がシーン別の相場や支払い方法をお伝えします!」
- NATIONAL GEOGRAPHIC「米国人さえ嫌う「チップ」の習慣、なぜなくならないのか」
- 留学の教科書「アメリカのチップ文化と理由(アメリカ留学)」
いつも思う事だけど、徳本氏は毎回一人で異国地に行き、言葉も通じない人たちの中で自分たちの考えや夢を語り、農業の未来を他国の農家の方々と共有して帰ってきている事に驚愕する。
そうね。今回は俺と2名だったけど、一人で乗り込む時も多いね。彼の行動力だけは認めざるをえない笑。