ステンレス製の保温マグに淹れたコーヒーの味が変わる気がする
いやー、コーヒー豆が高くなりましたね。
僕は月に2回くらい、コーヒー屋さんに行きます。その度に500gの豆を買って帰るんですが、買う豆は変わってないにもかかわらず、この数年で出費が倍くらいになりました。コーヒー屋さんも申し訳なさそうにされています。
それもそのはず、コーヒー豆の価格は年々上昇を続けています。
画像出典:世界経済のネタ帳「コーヒー豆価格の推移」
主要な産地であるブラジルが不作だったことに加え、これまでコーヒーを飲んでいなかった人々の食生活や食文化が経済成長によって変化し、コーヒーを飲む総人口が増えたことが要因とされています。
前者ならば次シーズンで回復する可能性に期待できますが、後者についてはもはや増えていくことしか考えられず、コーヒー価格の上昇の要因としては固定的なものになりそう。
じゃあ、生産量を増やせばいいじゃないかと思うのですが、むしろ気候変動によってコーヒー栽培に適した地域が減少しており、2050年には現在の半分にまで減ってしまうという予測※1さえあります。
コーヒーの生豆価格は過去、不作と供給過多によって何度も激しく乱高下※2していますが、前述の理由に加えて世界的に進むインフレも加味すると、今後価格が下がることは見込めず※3、近い将来、コーヒーは気軽に楽しめる庶民の飲み物でなくなる可能性があるわけで、そう考えると、いま僕の目の前にある一杯のコーヒーも大切に、丁寧に味わわなくてはならない、そんなふうに思うのであります。
朝に飲むコーヒーは最高ですよね!
ステンレス製の保温マグはコーヒーを不味くする装置か
ところが最近、僕の中に、コーヒーに関する(価格以外の)不安要素が顕在化してきました。いや、最近というわけではなく以前からその問題を認識してはいたのですが、前述のとおり、コーヒーの価格が上がってきたために無視できなくなってきた、真剣に考えざるをえなくなってきたというのが正しいところでしょう。
いつも回りくどい書き方で申し訳ないのですが、要するに、本記事の件名にもあるとおり、ステンレス製の保温マグにコーヒーを入れると味が大きく変わってしまう、つまり不味くなってしまうのではないかという疑問が、いよいよ自分の中で大きくなってきたというわけです。
僕はいくつかのステンレス製マグを持っていて、ふだんからよく利用しています。
こう見るとだいぶん傷んでますね
保温マグについては、温かいものは温かく、冷たいものは冷たくと、温度を維持してくれるのは季節を問わずありがたいものです。ただ、それと引き換えに不味くなってしまうのであれば意味がありません。
ステンレス製の保温マグやマグカップでコーヒーを飲むと味が変わってしまうのではないかという疑問は多くの方が抱くようで、ネット検索すると同テーマで様々な記事が表示されます。僕が閲覧したページは文末に掲載したので、興味のある方はそちらから見てほしいのですが、今回は同じ質問を今を時めく※4DeepSeekに投げてみました。
あ、「味」と間違えて「足」と打ってしまっている!(笑)
DeepSeek、いいヤツだわ〜(笑)。
画像では見切れていますが、DeepSeekが教えてくれた「ステンレス製マグを使ってコーヒーの味が変わる可能性」と、その他ネットで調べた内容はほぼ同じ※5でした。
曰く、金属イオンの影響、熱伝導の違いによる温度変化、揮発による香りの喪失、口当たりの違いといった要素が複合的に絡み合い、コーヒーの味を落としている可能性があるとのこと。
まあ、そうかも知れないし、そうじゃないかも知れないという印象です。
その後も、いろいろなブログを読んでいたら、「おぉ、これは正しく」という記事を発見しました。「コーヒーのアレ」なるWEBサイトの「淹れたてコーヒーを水筒に入れて保存すると、味の劣化が早くなる?」という記事です。
記事を書いた方は、淹れたコーヒーを50℃程度に冷まし、一方は陶製のマグカップに注いですぐに飲み、もう一方は魔法瓶に入れて3時間経過してから飲んで両者を比較するという実験をされたそうです。結果はこの記事によると、
魔法瓶の水筒に入れて高温で保存していたコーヒーを飲みます。口に含むと、苦い、と同時に先程は感じられなかった酸味が強く感じられます。甘みはなくなり、果実のような香りもない。苦味は変わらず強く感じますが、それ以外の良い要素は消え、妙な酸味だけが付与されました。全く別物のコーヒーです。
とのこと。理由は分かりませんが、とにかく実験によって味が違うことを確かめておられます。
そうか、比較すればいいのか!(誰でも思いつく)
というわけで、やってみました。ら、すぐに気づきました。
ステンレスのマグは、コーヒーのような温かい飲料を注ぐと、少しだけ匂いがする(気がする)んですよね。味が変わるというより、この微妙な匂いが邪魔をしているのかも知れませんが、間違いなく違う!と胸を張って主張できるほどの違いはない。うーむ。
ついでにチタンのカップに入れてみたのですが、ステンレスとは比較にならないくらい明確に素材の匂いがしました。
今後、キャンプであってもこのカップでコーヒーを飲むことはないでしょうね……。
大好きなカップではあるんですけどね……
複雑過ぎてよく分からない
理由はどうあれ、味が変わったように感じることまではハッキリしました。
僕の探求はここで終了です。なぜなら、この問題は複雑過ぎるからです。
この問題をさらに追求した研究者がいまして、彼らの論文※6によると、素材だけでなくマグの色、質感、重さその他多くの要素が味の感じ方に影響を与えることが分かったようなのです。
こうなるともはや、あらゆることが味の変化に影響すると言えそうな気がしますし、実際そうなんでしょう。
こんな記事を書いた僕がやるべきことは、どうすれば自分が一番美味しく感じるのかを探し求め、次の記事を書くことなのだと思いますが、多分そんなことはしないでしょう。陶製マグカップで飲むコーヒーの味に満足していますし、ステンレス製保温マグのように温かさが長持ちしないとしても、一度に淹れるコーヒーを、飲み終えるまでに冷めない程度の量に調整すればいいということに気づいたので。そして何より、そこまでの情熱が僕にはないので。
所有するステンレス製マグは
以上のような流れで、コーヒーを飲む際にステンレス製の保温マグは使わないことにしたわけですが、全く使わないのは勿体ない。再びDeepSeekに聞いてみました。
やや長い回答になったので、以下にコピペで貼り付けてみます。
ステンレス保温マグに最適な飲み物
1.お湯 or 白湯(シンプルな熱い飲み物)
理由
- 味や香りが変化する要素が少ない。
- 金属の影響を受けず、長時間高温を保てる。
- コツ:内側をあらかじめお湯で温めておくとさらに効果的。
2.紅茶(特に濃いめのアッサム・ダージリンなど)
理由
- 深みのある味わいの紅茶は、高温維持による苦味の増加が逆に好まれる。
- ステンレスでも香りが比較的保たれやすい。
- 注意点:レーバーティー(柑橘系やベルガモット)は香りが飛びやすいので短時間で飲む。
3.ほうじ茶・番茶・黒豆茶(和の焙煎茶系)
理由
- 焙煎香が主成分のため、香りの劣化が少ない。
- ステンレスとの相性が良く、渋みが抑えられる。
4.ココア or チョコレートドリンク
理由
- 乳成分や糖分が多く、金属イオンの影響を感じにくい。
- 高温保持でとろみが持続し、美味しさが長続きする。
5. スープ(味噌汁以外の洋風スープ)
例:ポタージュ、コンソメ、コーンスープ
理由
- 油脂や塩分が金属イオンを包み込み、風味変化を抑える。
- ただし、味噌汁は発酵食品のため、長時間保温すると風味が劣化しやすいので不向き。
ステンレス保温マグに「やや不向き」な飲み物
1.コーヒー(特に浅煎り・スペシャルティコーヒー)
理由
- 香気成分が金属に吸着され、風味が平坦化する。
- 高温維持で過抽出のような状態になり、苦味・えぐみが増す。
対策:飲む直前に淹れるか、ガラス内装の保温ボトルを選ぶ。
2.緑茶(煎茶・玉露)
理由
- 繊細なうま味成分(テアニン)が高温で分解され、渋みが目立つ。
- 金属イオンが茶色を変化させることがある。
3.ハーブティー・フルーツティー
理由
- 揮発性の香り成分が失われやすく、風味が落ちる。
- 酸味の強いもの(ハイビスカスなど)は金属イオンと反応しやすい。
4.炭酸飲料・アルコール
理由
- ステンレスは耐腐食性が高いが、炭酸や酸で内面が劣化するリスクあり。
- ビールやワインは温度管理が難しく、風味が損なわれる。
ステンレス保温マグを快適に使うコツ
1.使用後の洗浄
- 飲み物の成分(茶渋・コーヒー油脂)が残ると臭いや味移りの原因に。
- 重曹やクエン酸で定期的に洗浄すると良い。
2.事前温め
- 熱い飲み物を入れる前にお湯で予熱すると、温度保持力がアップ。
3.飲み口の素材確認
- プラスチック製の飲み口は香りが吸着しやすいので、ステンレス製を選ぶ。
まとめ
ステンレス保温マグは、「高温保持が必要で、香りや酸味に敏感でない飲み物」に最適です。
- オススメTOP3:紅茶・焙煎茶・ココア
- 避けるべき飲み物:浅煎りコーヒー・緑茶・ハーブティー
用途に合わせて容器を使い分けると、より美味しく楽しめますよ!
(以上、DeepSeekの回答より引用)
- Yahoo知恵「ステンレスポットに珈琲を入れたら味が変わってしまいました。」
- euro kitchen kasai 「ステンレス製タンブラーやフィルターを使うとコーヒーが不味くなる!?」
- note 樋口直哉「コーヒーの味はカップによって変わる」
- WIRED「コーヒーの風味は、カップの素材や色に影響される:研究結果」
- COFFEE STATION「マグカップの材質によってコーヒーの味わいは変わる?木製マグと銅製マグ、どう変わる?」
- コーヒーの2050年問題(参考:ELEMINIST「コーヒーが飲めない日が来る?「コーヒー2050問題」の原因と対策を考える」)
- SENSEISHA「コーヒーのアンフェアな取引」
- この記事を書いていた2025年4月22日、トランプ米大統領の関税策により、需要が低下するとの思惑から先物相場が値を下げました。何があるのか分かりませんね。
- 2025年4月現在
- DeepSeekは一般公開されているネット記事等を学習データとして利用しているので、当たり前といえば当たり前なのですが。
- George H Van Doorn, Dianne Wuillemin and Charles Spence「Does the colour of the mug influence the taste of the coffee?」、Charles Spence and Fabiana M.Carvalho「Assessing the influence of the coffee cup on the multisensory tasting experience」