コーヒーを淹れてみた

僕は割とコーヒーが好きですが、コーヒーについての記事を書くなんて恐れ多くて無理。ずっとそう思っていました。

でも、最近思ったんですよ。

「キャンプやキャンプ道具についても、同じじゃない?」と。大してキャンプするわけでもなし、キャンプ道具に詳しいわけでもなし。でも、ブログは書いている。

じゃあ、コーヒーについても書いたっていいじゃないかと。

いわゆる、開き直りっていうやつですね(笑)。

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The Five Beans

僕の実家は、挽いたコーヒー豆の粉を買ってきて、コーヒーメーカーで落として飲む家でした。粉はスーパーで売っているUCCのものです(多分、今も同じ)。

東京で仕事をしている時は、オフィスのあったビルの1階のスターバックスに1日に2度は行っていましたが、コーヒーが美味しいからというよりも、テラス席でゆっくり息抜きしたくて行っていた感じですね。

自分で美味しいコーヒーが飲みたいと思い、豆を選んで買うようになったのは、仕事を辞めて神奈川県は葉山町で暮らしはじめた時からです。

ふらっと入った近所のコーヒー屋「The Five Beans」で買ったコーヒーがとても美味しく、足繁く通って店主に豆について淹れ方について話を聞き、毎朝コーヒーを落とすのが楽しみになって、それが自分の生活の一部になって……という、どこにでもあるような流れでコーヒーが好きになっていきました。

ちょうど世の中では、サードウェーブと呼ばれる第三次コーヒーブームが訪れていました。

僕が解説するまでもないですが、サードウェーブはコーヒー本来の価値、つまりコーヒー豆が持つ本来の風味や味わい、そのベースとなる産地や品種、これを支える品質管理に重きを置く考え方です。

日本では深煎りで苦味が強調されたコーヒーが好まれますが、なにが何でも深煎り!苦み!ではなく、豆の個性に合わせた栽培や品質管理(生産者・問屋)、華やかな香りと酸味を活かす焙煎(焙煎・小売)や挽き方・淹れ方(消費者)を大切にしよう、というのがサードウェーブのコーヒーです。

実のところ、実家で飲んでいたコーヒーを美味しいと感じたことはあまりなかったし、スターバックスで飲んでいた「本日のコーヒー」は、いつも異なる豆の種類がメニューボードに書かれてはいたものの、深煎り傾向だったためか、僕にとっては同じような味に感じられていました(僕の味覚が未熟なこともありますが)。

が、The Five Beansで飲んだコーヒーは、実家でのそれとも、スターバックスのそれとも全然違っていたんですよね。

「サードウェーブ」が語られる際によく聞かれる言葉「スペシャルティコーヒー」は、主に7つの指標(日本スペシャルティコーヒー協会のカップ評価基準)で評価されるコーヒーですが、ここに「苦味」という指標は存在せず(むしろ評価を下げる要素として登場)、「甘み」や「酸味」、「バランス」といったキーワードが並びます。

コーヒーという言葉を隠してこの7つの指標を読むとコーヒーの評価基準とは思えない感じもしますが、The Five Beansのコーヒーを飲んだ時、書いてあることが知識やウンチクとしてではなく、すっと腹落ちしたような気がしたんです。

稚拙な感想で恐縮なんですが、
「酸味と酸っぱいって違うんだな」
「フルーティな香りのコーヒーなんてそんなのあるわけないって思ってたけど、実在するのね」
みたいな。

以降、気軽にガブガブ飲めるような値段ではないこともありましたが、コーヒーを丁寧に選び丁寧に淹れて丁寧に飲む、ようになりました(自分なりに)。

コーヒーにまつわる本

僕の家には何冊か、コーヒーに関する本があります。が、僕の記憶に強く残っているのは、数年前に図書館から借りた「美味しいコーヒーって何だ?」という本。


数年前に撮った写真なので、本の向こうの景色が以前住んでいたアパートですね

焙煎家のオオヤミノル氏が、「美味しいコーヒーって何だ?」をテーマに、サンフランシスコ、鹿児島、鎌倉、東京の名物ロースターと対談し、それをまとめたもの。僕の愛読誌だった雑誌relaxの編集を手掛けていた岡本仁さんが、本書の編集を手掛けていたことがこの本を手にするキッカケでした。

焙煎家たちの対談からコーヒーの異様なまでに深い世界を垣間見て、「この世界に深入りするのは危険だな」と感じたことをよく覚えています。

ちなみにこの本で、僕が一番記憶に残っているのは、筆者のオオヤミノル氏が生豆を「きまめ」と発音して、ベテラン焙煎家に「なままめ」と読むのが正しいと指摘される場面。

世の中では「きまめ」と発音している人が多い印象ですが、「火を入れていない、焙煎前の豆」という意味で使う場合は、「なままめ」と発音するのが正しいようです(*1)。

コーヒーを淹れてみた

さて、科学や常識、マナー(*2)は時代とともにドンドン変わっていきますが、コーヒーの淹れ方もずいぶんと変化しているようです。

僕個人の認識ですが、広く一般に行われているコーヒーの淹れ方は、UCCのWEBサイトにある「コーヒーを淹れる」の〈 ハンドドリップで淹れる 〉にあるようなものではないでしょうか。

以下で紹介する「きちんと計る」淹れ方を知るまでは、僕も同じような淹れ方をしていました。実際には「お湯はゆっくり注いだ方が美味しいはず」とか「ペーパーに直接お湯が当たらないように注いだ方が良さそう」とか、より感覚的でテキトーな淹れ方だったわけですが。

きちんと計る

上記のUCCの淹れ方もそうですが、最近ではより、豆の重さ、お湯の重さ、お湯を注ぐ回数や時間などをきちんと計る、数値化する淹れ方が主流になってきているようです。

数値化する最大のメリットは、再現性の高さではないでしょうか。20グラムのコーヒー豆に、300グラムのお湯を5回に分けて45秒ごとに投入する、というレシピなら、誰がやってもブレることがありません。

僕がこの「きちんと計る」淹れ方に最初に出会ったのは、BUZZFEEDの「【世界チャンピオン直伝】コーヒー通にこそ知ってもらいたい「淹れ方」大原則」という記事でした(非常に面白い記事ですので、ぜひご一読ください)。

この記事で紹介されている、WORLD BREWERS CUP 2016でアジア初の世界チャンピオンに輝いた、粕谷哲氏の「4:6メソッド」は、感覚的にテキトーに淹れていた僕にとって正に衝撃。

コーヒーを淹れるための要素が数値化され、その意味や理由が明確で、そして淹れる人の好みで簡単にカスタマイズできるところが素晴らしいと感じましたね。

2014年WORLD BARISTA CHAMPIONSHIPでアジア人初のチャンピオンとなった井崎英典氏も、粕谷氏とは細部は異なりますが、お湯の投入目的を4:6の分量で切り分けるなど、数値化されたレシピをきっちり遂行する淹れ方を考案、紹介されています。

この2つのメソッドで提示されている時間でお湯を投入しよう(落とそう)とすると、コーヒー豆はやや粗めの挽き方になり、使用する豆の量も少し多めになります。

コーヒー豆は細かく挽けば挽くほど、渋みや雑味が増すと言われているので(*3)、粗めに挽いた多めの豆を使ってコーヒーの美味しい部分だけを抽出する、やや贅沢な方法と言えるかも知れません。

だからこそ、コーヒーを淹れる行為、その時間を楽しみたいし、ゆっくり味わいたいと考えるようになりました。

実際、コーヒーを淹れるのって楽しいですよね。

ちなみに、コーヒーの淹れ方動画をいろいろと見ていたら、こんな豪快な淹れ方をしている喫茶店を発見。行ってみたい。

キャンプでどう再現するか

さて、キャンプでの飲み物として、ビールと並んで外せないコーヒー。

キャンプでも、自宅でやっているような数値化された淹れ方ができないものか。

コーヒーはあらかじめ計量して持参すればいいし、時間もスマホで計ることができます。が、湯量を計るにはスケールか計量カップが必要。もちろんこれらをキャンプに持っていけば可能ですが、できれば荷物は最小限にしたい。

そこで、どうでしょう。

ケトルの代わりにフラスコを使うというのは。

直接火にかけてお湯を沸かせるし、目盛りもあるので注ぐお湯の量を確認しながら注ぐことができます。最小目盛りが100mlなのがちょっとアレですけど。

この三角形のフラスコなら自立するし、使わない時はテーブルの上に置いてキャンプ場で摘んだ花を活けておくと華やかなサイトになるかも(笑)。

今年、試してみたいと思っています。

– – –

とまあ、いろいろ書いてみましたが、結局のところ、コーヒーは嗜好品。自分が美味しいと思う豆を、美味しいと思う方法で飲むのが一番なんでしょうね。

そのうち僕の嗜好も変わるかも知れませんし、もっと美味しくて手軽な淹れ方が発明されるかも知れません。

個人的には4:6メソッドが実行されるコーヒーメーカーの登場を待っていますが、理想としては、複数のメソッドから選べたり、新しい手法が考案されたら自動的にアップデートされたり、AIが豆の種類や体調に合わせて淹れ方を調整してくれる、そんなコーヒーメーカーを期待してます(笑)。

というわけで、ようやくこの記事を書き終えましたので、コーヒーを淹れて楽しみながら記事を読み直してみたいと思います(とんでもない間違いに気づいて慌てて修正作業するのがいつものパターン)。

どうぞ、あなたも、あなたの美味しい一杯を楽しんでください。

*1 WINGBEAT COFFEE ROASTER 「「生豆」の読み方
*2 個人的に気になるのは、「了解です」がNGで、「承知しました」はOKという、根拠不明のマナー(笑)。
*3 UCC 「美味しいコーヒーの淹れ方 挽き方」、SUZUKI COFFEE 「コーヒー豆の挽き方の違い」、Daiichi F&L 「コーヒー豆の挽き方と、挽くときに気を付けたいこと。

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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2件のフィードバック

  1. s.t. より:

    化学の専門家です。三角フラスコよりコニカルビーカーがぴったりだと思いますよ。
    http://www.bunseki.ac.jp/naruhodo/instruments/detail.php?id=3

    • aw より:

      s.t.さん、コメントありがとうございます 🙂

      コニカルビーカーというのがあるんですね。知りませんでした。調べてみたいと思います。ありがとうございます!

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