ライフジャケットを検討してみた

先日、久しぶりに消防の同期の友人とお酒を飲みました。同期の中でも一番仲の良かったヤツで、もちろん現役の消防士です。

彼は、2001年の東日本大震災での救助活動をキッカケに他の都道府県の消防士たちと繋がり、救助訓練を行ったり、日本各地で頻発する災害のボランティアに参加したりと、所属する組織や一消防士としての枠を超えて、全国規模で活動しています。

ゆえに、やはり会話の内容は、災害や防災について何ができるかといったものに。

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その中で、水難事故防止におけるPFD(Personal Floating Device)、つまりライフジャケットの重要性について指摘されました。

今年は結局、娘を海に連れていかれなかったのですが、機会をつくって行くつもりでいました。しかし、僕のものも娘のものも、ライフジャケットの用意はありませんでした。さらに言えば、必要性にも気づいてませんでした。

浅瀬で水遊びする程度だから大丈夫と高をくくっていたと思います。そして「自分は泳げるし、救助の知識も経験も、少しはあるから大丈夫」と、ほとんど根拠のない自信(過信)があった気がします。

毎日のように水難事故によって死者や行方不明者が出ているのを新聞で見て、「なちゅうことだいや(*1)」とため息をついていたにも関わらず、僕お得意の、「他人事」として扱って見ていたわけです。

以下は、国土交通省が発表している、ライフジャケット着用時/非着用時それぞれの死亡率です。


画像出典:国土交通省

ライフジャケットを着ていても40%の方が亡くなっていることにも衝撃を受けますが、しかし、着用していないと4人に3人が亡くなってしまうというのもかなり強い事実。海上保安庁も似た調査を実施して結果を公開していますが、ライフジャケットを着用していた方が生存率が高いのは同じです。

また、ライフジャケットは海や川でのレジャー時だけでなく、先日、中国・四国地方を襲った豪雨水害(平成30年7月豪雨)のような水害でも、確実に有用なアイテムだと思います。

そこで、夏は終わってしまいましたが、ライフジャケットについて調べておくことにしました。

ライフジャケットの分類と選ぶ際のポイント

自分の学びのためにも、今回調べた内容をざっくりと整理して記載してみたいと思います(詳しくは、文末の「参考記事」をご覧ください)。

国土交通省認定品と非認定品

安全性に大きく関わる点として、「国土交通省認定品」と「非国土交通省認定品」の分類があります。読んで字のごとく、前者は国土交通省が定める「ライフジャケットの安全基準と技術基準」を満たす製品、後者はそうではないものです。

ライフジャケットは命に直結する製品ということもあり、国土交通省認定品は、かなり厳格な試験を通過した安全な製品と言えます。船舶を利用する際は、認定品のライフジャケットでなければ法令違反となります(*2)。

では、非国土交通省認定品が安全ではないかと言えば一概にそうではなく、たとえば、十分な安全性能を持ってはいるものの外国製だったり、磯釣り専用に製造されているものがそれに該当するようです。

ちなみに、製品をいろいろ見ていると、国土交通省認定以外にも「CE認証」や「CCS船級対応(*3)」といった記載のある製品に出会いますが、これは海外で定められたもののようで、この認証だけでは、いずれも「非認定品」に類することになります。

タイプについて

さらに、国土交通省認定品は色や浮力、付属品等によって「タイプ(TYPE)」に分類されていて、A、D、F、Gの4つのタイプがあり、現在市販されています。利用する船舶の種類や規模によって、使用が認められているライフジャケットのタイプが定められているようです。

その中でもTYPE Aは全ての船舶で利用できるようですので、このタイプを購入しておけば間違いないと思われます。が、オレンジ色、または黄色と規定されているので、レジャーでも使いたい場合は、色の条件が緩和されているタイプDが良さそうですね。

固型式(非膨張式)と膨張式

続いて、ライフジャケットの構造(仕組み)ですが、主に固型式(非膨張式)と膨張式があります。

固型式のライフジャケットは、装着している時していない時、いずれでも形状が変わらないもので、チョッキ式や首掛け式などがあります。さらにチョッキ式にはフロントバックルタイプ、フロントバックル+ジッパータイプ、プルオーバータイプなど、装着方法で分類できます。

一方で、膨張式のライフジャケットは、水に入った(落ちた)瞬間にそれを感知して自動的に、あるいは装着者が手動で空気を送り込んで浮力を発生させるもの。

それぞれのメリットですが、固型式は、たとえば船や陸地から海や川に落ちた時に、何もしなくてもただちに浮力が生じるので、ただ着ているだけでOK、という点。

膨張式は、使用していない時は小さく縮んでいるので動きやすいし、デザインもスッキリしていること。

デメリットは、上記のメリットがそれぞれ入れ替わった感じですが、固型式は着用していると動きづらいし、夏なら暑い。浮力=体積になるので、安全性能が高いライフジャケットは嵩も大きくなって、デメリットの傾向が強くなります。

膨張式については、膨張するかどうか確実ではないこと(メーカーは動作保証していません)。自動で膨張しなかった場合は、手動で膨張させる必要があります。手動=紐などを引くだけのものが多いようですが、不意に水に落ちたり流されたりしている時に、冷静に対処できるかどうか。落水した際に気を失ってしまう可能性もあります。また、膨張したものの破損していてガスが漏れたりするケースも全くないとは言えないようです。

少なくとも、子ども用については固型式を選ぶべきだと感じますね。

他にも、気体密封式やハイブリット式などがありますが、現在流通している主なライフジャケットは固型式と膨張式の2つです。

素材

素材ですが、ナイロンとネオプレン®の2つが主流のようです。ネオプレン®はアメリカ・デュポン社の登録商標で、クロロプレンゴムと呼ばれるものです。主にダイビングのウェットスーツやDVD保護ケースなどに使われています。

前者は軽くてローコストで装着しやすい、後者は着心地が良いけどやや価格が高い、といったところのようです。

浮力

ライフジャケットに求められる浮力は、国土交通省の安全技術では、固型式で7.5kg以上、膨張式で6kg以上と定められています。

目安としては体重の10%、例えば60kgの体重であれば必要な浮力は6kg以上。これは着用者の頭を水面に出すために必要となる浮力のようです(*4)。

また、小児用ライフジャケットは別途、以下のように定められています。

体重 浮力 体重 浮力
40kg以上 7.5kg以上 15kg以上40kg未満 5kg以上
15kg未満 4kg以上

子どもは大人に比べて頭が大きいですから、体重の19〜27%の浮力が要求されていますね。

浮力はライフジャケットのもっとも重要な要素の一つですから、大切なチェックポイントです。

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これらの要素を組み合わせて、想定する用途や状況に応じて選ぶ、ということになります。

子ども用

最初に子どもに着用するライフジャケットを考えてみます。

安全性と確実性を考慮して、チョッキ式(固型式)に限定して見ていきます。

キャプテンスタッグ ライフジャケット シーサイドフローティングエイド幼児用 MC-2554

国土交通省認定 – – –
対象 身長/80~100cm、胸囲/60cm以下、体重/13~20kg
浮力 4kg
材質 表地生地/ポリエステル100%、ベルト/ポリプロピレン、バックル/ポリアセタール、浮力材/ポリエチレンフォーム

キャンプ用品メーカーのライフジャケット。

大きなネックピローが、水に浮いた子どもの首を固定し、顔が水面より上に上がるようサポートしてくれます。

浮力は4kg。規定では体重15kg未満の浮力なので、今後の娘の成長を考えると、浮力は5kg欲しいところですね。

国土交通省の認定品ではないので船釣りなどでの使用はできませんが、川・海遊びでの使用は、レビューを見る限りでは問題なく使えそうです。

ブルーストーム ライフジャケット 幼児用 BSJ-210I TENTOUII

国土交通省認定 TYPE F
対象 身長/80~100cm、体重/10~25kg未満
浮力 6kg
材質 表地生地/ポリエステル300D

救命器具の専門メーカー「高階救命器具」のライフジャケット。

子どもも気に入りそうな、てんとう虫を模したかわいらしいデザインですが、TYPE Fの国土交通省認定品で、一定の条件(*5)で船舶での使用が可能(だと思われますが、メーカーの製品ページには「船釣りには使用できません」と書かれていますね)。

同じシリーズにミツバチ、サメがありますが、ミツバチは色も黄色ですし、これに反射材が加わればTYPE Aの認定品になると思うんですが、どうなんでしょうね。

キャプテンスタッグの製品と同じく、大きなネックピローが、顔が水面の上に出るようサポート。また川の流れや波などでうつ伏せになっても、仰向けに反転するような構造になっています。

笛も付いてますが、子どもが有事の際に使うのは難しいですかねぇ。

オーシャンライフ ライフジャケット 小型船舶小児用救命胴衣 Jr-1M型

国土交通省認定 TYPE A
型式承認番号:第4463号
対象 適応身長/130~150cm、適応年齢/9歳~11歳、適応体重/40kg未満
浮力 5.4kgf
材質 – – –

対象が小学校中学年くらいと、まだ僕の娘には使えないタイプですが、記録としてピックアップ。

TYPE Aの国土交通省認定品なので(黄色と目立つ色、反射材付き、笛付き)、あらゆる状況で使用が可能。

ベルトの色やロゴマークなど、もう少しカッコよくできる要素はあるものの、命を救うための製品としての質実剛健な感じがとても好きです。

大人用

続いて、大人用のものをチェックしていきます。

大人用についても、安全性や確実性を考え、チョッキ式(固型式)で探すことにしました。

モンベル アクアファン パーシモン

国土交通省認定 – – –
重量 670g
浮力 7.5kg
材質 210デ二ール・ナイロンオックス、浮力体/NBR

アウトドア製品を数多くリリースするモンベル(mont-bell)のライフジャケット。

カヤックでのツーリングやラフティングなど、体を激しく動かすアウトドアアクティビティでの使用を前提に考えられているので、浮力体にも柔軟性があり、アジャスターも7か所と、通常のライフジャケットと比べてフィット感が重視されたつくりです。

一方で、水難・海難救助用としては開発されていないため、国土交通省の認定品ではなく、船舶での使用はできません。

アクティビティにも使え、且つ国の規定も満たす、デザイン性の高いライフジャケット。モンベルにはそんな製品を期待したいですね。

Nataly Osmann ライフジャケット フローティングベスト

国土交通省認定 – – –
対象 体重/110kgまで
浮力 – – –
材質 ネオプレン、両面ナイロン布、EPEパールフォーム浮力綿

ネオプレン素材のライフジャケットです。

大人用はS、M、L、XL、XXL、子ども用も2、4、6、8、10、12とそれぞれ5サイズと、他の製品に比べてサイズバリエーションが豊富です。

カモフラ柄は少し苦手ですが、「救命胴衣!」「ライフジャケット!」という感じが苦手な人にはいいかも知れません。まあ、ライフジャケットは本来、発見されやすくするためにそれ自体が目立つ必要があるんですけどね。

気になる浮力については、正確な情報はないのですが、この製品はEUの基準であるCE認証を取得しているようです。CE認証の浮力は、大人用で15kgfと規定されているようなので(*6)、この情報が正しければ浮力は十分にあると言えます。

浮力はライフジャケット選ぶ際の重要ポイントなので、製品情報に浮力は確実に含めておいてほしいですね。

小型船舶用救命胴衣 TK-200A

国土交通省認定 TYPE A
型式承認番号:第3796号
対象 胴回り/約100~120cm
重量 約570g
浮力 7.5kg(メーカー未発表)
材質 – – –

高階救命器具からリリースされている、TYPE Aの国土交通省認定ライフジャケット。あらゆる状況で使用できます。

前面はファスナーのみなので、見た目がかなりスッキリしていてイイですね。アジャスターはサイド部に2本、股下に2本。

この写真では分かりづらいのですが、腕を通す部分が大きく開いているので、動きやすそうです。

浮力がハッキリと示されていませんが、認定品なので7.5kg以上あるはずです。

小型船舶用救命胴衣 NS-SL-V型

国土交通省認定 TYPE A
型式承認番号:第3283号
対象 胴回り/約135cmまで
重量 約405g
浮力 約8.8kg
材質 全面メッシュ生地

日本船具のライフジャケット。TYPE Aの国土交通省認定品です。

薄い浮力材を重ね合わせることで柔軟性を、作業時に邪魔になる前面、脇の部分を薄くすることで作業性を高めたモデル。また浮力材に縦・横に折り目が入っているので、とくに屈む時に邪魔になりません。

高密度コーティング生地で汚れづらい表生地、裏生地は通気性の高いメッシュ生地が使用されています。

ライフジャケット自体は400gとかなり軽量なのに、浮力は8.8kgと抜群のパフォーマンス。

ハイスペックなライフジャケットですね。

最後に

最初は、「できるだけオシャレで、機能も満たすものを」と考えて調べはじめました。

しかし、「遭難した時のためにライフジャケットは目立たなくてはいけない」という大きな事情があり(考えてみれば当然なのですが)、国土交通省認定のTYPE Aについては、使える色は黄色やオレンジなどの目立つものに限定されています。

その後、ライフジャケットのメーカーHPや販売サイト、カヤックや釣りをされる方のブログ、水難事故の事例などを調べるにつれ、「オシャレするために買うものではなく、命を守るために選ぶべきもの」という、ごく当たり前の考えに至りました。

仮に青色のライフジャケットを着ている時に海で遭難したら、「なんで目立つ色にしなかったんだろう」と絶対に後悔すると思います。

そういう当たり前のことに気づけただけでも、今回調べてみてよかったと思います。もちろん購入する際は、この気づきに沿って製品を選ぶつもりです。

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海辺の近くに暮らす友人がちかぢか船舶免許を取得して船を買うとのことで、「来年は船釣りできますねー」みたいな話をしてたのですが、船釣りするためには認定品のライフジャケットが必要になります。

どんな場面でも使えるライフジャケットが、最終的には命を守ることに繋がるし、遊びの幅を広げてくれもするのかも知れませんね。

*1 「なんてことだ」という意味の鳥取県東部の言い回し
*2 平成30年2月より、全ての小型船舶において国土交通省認定品のライフジャケットの着用が義務付けられました
*3 CCS: 中国船級協会
*4 カヤックフィッシングガイド「PFD(ライフジャケット)の必要性と選び方
*5 TYPE F:平水区域、2時間限定沿海区域及び沿岸区域を航行区域とし、かつ、一定の諸条件に適する小型船舶(旅客船を除く)及び水上オートバイ等に法定備品として搭載することができる。一定の諸条件とは、・不沈性能(船内に十分な浮力体があり沈まない構造)があること。・緊急エンジン停止スイッチ(操船者が落水時にエンジンが自動停止するもの)があること。・音響信号器具(笛、ホーン等)を装備していること(出典:国土交通省
*6 ライフジャケット(日本での通称)
参考記事
・国土交通省「ライフジャケットの着用義務拡大
・ネオネットマリン「ライフジャケットの選び方」、「膨張式ライフジャケットを徹底解説 [BEWAVE編]
・日本小型船舶検査機構「ライフジャケット(救命胴衣)/水上オートバイ
・小舟でトト釣り「ライフジャケットのタイプとは?選び方と国交省承認、新基準、CE認証について
・ヨコタオート&マリン「小型船舶のライフジャケット着用義務化の拡大について
・し~くれっとの釣りブログ「オーシャンライフ WR-1 桜マーク付きライフジャケット 自動膨張式で最安値か?

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2件のフィードバック

  1. Say より:

    我が家でもPFDの重要性は感じており、2人の子どもには海はもちろんプールでも着用させています。
    水遊びの事故はちょっと目を離した隙に起こることが多いですが、「子どもから絶対目を離さない!」なんてことは無理だと思っていますので。
    でもPFDを着用させているから安心して目が離せる・・・とならないように気をつけないといけませんね(笑

    色については深い思慮なく可愛らしい色にしたんですが、青色は海で発見されにくいというのは考えてもいませんでした(汗
    あと、確かに災害に対しても使えますね。使用後はクローゼットの中にしまい込んでいましたが、手の届きやすいところに保管するようにしようと思います。

    • aw より:

      Sayさん、コメントありがとうございます!

      本当にそうですよね。数秒だけと目を離したつもりが、思わず1分2分になってしまうなんてことは、よくあることだと思います。そしておっしゃるように、着せてるから安心、という陥りがちな思考も断ち切るようにしないといけませんね。

      幼い頃から水遊びする時は状況問わずライフジャケットを着用させることで、子どもにライフジャケットを着て遊ぶのがふつうのことだと認識させられるかも知れません。

      とにもかくにも、我が家にはライフジャケットが一着もないので、早く購入しなければ、です。

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