火事の対策を考えてみた

これまで何度か防災についての記事を書いてきましたが、それはおもに地震への対策でした。

突然ですが、今日は火事の対策を考えてみたいと思います。


画像出典:Flickr

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なぜ火事のことについて考えたかと言いますと、雪中キャンプ時にテントの中で暖をとる方法をいろいろと考えたり調べているなかで、今年のはじめにこんな痛ましい事故が起きていたことを知ったからです。

キャンプ場のテント火災、遺体は69歳男性…福岡・篠栗
カセットボンベを使うガスストーブがテント内で燃えており、寝袋に燃え移った可能性があるとみて調べている。
2018年2月18日 出典:産経WEST(より詳しい情報はこちらを)

テントの中で炎に包まれるなんて、考えただけでも恐ろしい……。

キャンプでの火事予防・対策についてはまた別途考えてみたいですが、今日は自宅でのそれについて。

昨年(平成29年)だけでも、全国で4万件近くの火災が発生していて、そのうち半分が建物火災です。つまり2万件、1日あたりおよそ55件のペースで建物火災が起きているわけです(*1)。

他人後ではないし、すぐそこにある危険です。

ごく当たり前の、やるべきこと

我々が暮らしているT町ハウスのように、築50年以上を経た木造住宅の場合、ちょっとした火でもすぐに燃え上がってしまうことが予想されます。

ある検証では、1階から出火した場合、2階への延焼に要する時間はわずか7分。全焼までに20分とされています(*2)。

凄まじい早さです。

やはり、火事を出さないことがもっとも重要なわけですが、そのためには

  • 長期間不在にする場合は、ガスの元栓を閉める
  • 消化器を設置する
  • 火災報知器(火災警報器)を主要な居室に設置する(*3)
  • 耐震自動消火機能付きのストーブを使う

といった行動、準備は当たり前で、T町ハウスではすべて実施済みです。

しかし、それでも火事が起きてしまった場合はどうするか。

火事が起きた場合

T町ハウスでもっとも火災の発生源となりえる場所は、やはり毎日火を使っている食堂です。現在、石油ストーブもこの場所でしか使っていません(厳冬期になると、和室でも使用しますが)。

あらゆるパターンを想定し、対策を検討しておく必要はありますが、今回は夜間の就寝中に、台所・食堂で火事が生じたと仮定して検討を進めてみたいと思います。

火災報知器(火災警報器)

発災を知らせてくれるのは、食堂に設置した火災報知器です。

検知するとかなりの音量で発報するので、起きている時はすぐに気づくことができると思います。火事の規模によっては、避難したり、食堂に置いている消化器で、消火活動できるはずです。

しかし、現在T町ハウスの設置している火災報知機は連動しておらず、設置された場所で起きた火事を個別に検知・発報するだけのものです。

つまり、食堂で火災が起きても、寝室の火災報知機が発報することがないわけです。

疲れてぐっすり寝込んでいたり、雨が降っていて音が聞き取りづらい状況にあった場合は、食堂の火災報知機の発報音に気づかない可能性もあります。

そこでまず僕たちがやるべきことは、連動する火災報知器に取り替える、ということですね。

こんな製品です。

避難路を考える

さて、無事に火災に気づけたとして、寝室にいる僕たちは、どのように避難すればいいのでしょうか。

下の図をご覧ください。

階段を降りて玄関から脱出する経路(上図「避難路1)と、寝室の窓から屋根へと出て中庭へと降りる経路(上図「避難路2」)、この2つの避難路があります。

避難路1」で逃げることが可能なら、一番安全で簡単に避難できます。

しかし、台所・食堂と階段は連続した空間なので、階段は、火事で生じた煙の2階への通り道になっている可能性が高いと考えられます。そうなってしまっている場合、避難はNG。

次に「避難路2」ですが、窓から出たところは火元である台所・食堂の屋根の上ですし、中庭は外部から閉じた空間であるために、一旦屋外には出られるものの、火の勢い、周り方などによっては逃げ場を失う可能性があります。よって、避難はNG。

要するに、火事の発生に気づけたとしても避難できない、つまり逃げ遅れる可能性が高い、ということになります。

最後の避難路として僕が考えているのが、寝室の向かいにある僕の仕事部屋の窓から脱出する、下の図に示した「避難路3」です。

この仕事部屋のドアは就寝中はいつも閉じているので、廊下に煙が充満していたとしても、入室してすぐにドアを閉めてしまえば、煙の流入は最小限に抑えられるはずです。

しかし、この窓の下には屋根や庇など、地面に降りるまでの足場、クッションとなるようなものがなく、そのうえ、窓には落下防止のための大きな柵が取り付けられていて、簡単に窓外に身を乗り出すことができません。

そこで、まだ実行していませんが、こんな脱出策を検討しています。

クライミングのアイテムを使って懸垂下降

以前、僕はスポーツクライミングをしていたので、ハーネスやATCガイドなどを持っています。ビレー(*3)も下手ながらにできます。

そこで、追加でクイックドロー(通称ヌンチャク)とロープを準備し、以下のような脱出スキームを組みます。

僕は、トム(妻)と娘が脱出したあと、支点に固定したロープを伝って下降し脱出します。

「避難路3」のプラン実行については、2階という比較的低層からの下降とはいえ、また上階から確保しているとはいえ、実際危険な行動ですから、ハーネスの装着等も含めてクライミングジムなどで事前に体験し、練習しておく必要がありますね。

クイックドロー
ロープ

コワイ「放火」

さて、平成29年度の状況(*4)を見ますと、「放火」と「放火の疑い」を合わせると全体の10%を超えます

自分たちがどれだけ注意していても、誰かに火を着けられてしまうともうどうしようもありません。

家の前の掃除、片付けはしっかりしておかないといけませんね。前面道路から火が出てしまうと、「避難路3」だけでなく、全ての避難路が閉ざされてしまうので……(怖)

*1 総務省消防庁「お知らせ一覧(分野別)」 建物火災が発生するのは火を扱う冬季が多いイメージがありますが、一年を通じてそれほど発生件数にバラ付きはないようです。建物火災の原因の上位が「こんろ」や「たばこ」、「放火」「放火の疑い」などであり、「ストーブ」等、冬期だけに限定される理由は全体の中でそれほどの割合を占めないことが理由の一つとして考えられそうです。
*2 舞鶴市消防本部HP、パブリネット 消防の知識「燃え広がり方の基本」
*3 住宅用の火災警報機(住警器)設置義務は、消防法第9条の2、および消防法施行令第5条の6等が根拠条文となります。寝室と階段は設置義務、台所は任意です。なお、火災を感知した住警器のみが検知・発報するシステムで許容されています。
*4 総務省消防庁 「平成29年(1月~12月)における火災の状況(概数)
参考記事
・まったり山楽会 ロープワークの基礎

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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