留学生がやってきて3週間が経った

留学生のエフちゃんが我が家にやってきて、はやいもので3週間が経ちました。

身長184センチと長身の彼女も狭い我が家での暮らしに慣れ、低い梁や垂れ壁に頭を打つことがなくなりました。

彼女が最初に頭を打ったのがこの垂れ壁です
こういう部分が彼女にとって危険な罠となります

我が家の早寝早起きの生活リズムにも適応(もともと夜更かしするタイプではなかったようですが)、学校も毎日元気に通い、夕方からは娘と一緒にプール行ったり洋服を買いに行ったり。休日は畳部屋で大の字になって寝転がってマンガを読むなどかなりリラックスして過ごしてくれていて、僕らも一安心です。




すり合わせ

さて今回は、エフちゃんと実際に暮らすために考えたこと、決めた事についてまとめていきたいと思います。

aw家という日本の家庭での生活に、スイスという全く違う国で15年間暮らしていた女の子が加わるわけですから、やはり「すり合わせ」は必要です。

留学プログラムを提供する団体「AFS」は、僕たちホストファミリーが必要※1を超えて留学生に合わせて生活を変化させることを推奨していません。原則として、留学生にはホストファミリーのいつもの生活に参加することを、ホストファミリーには留学生に合わせて生活を変えないことを求めています。例えば、留学生の出自に合わせて料理を変えるとか、留学生に合わせて生活リズムを大幅に変えるとか、そういったことは控えるべき(留学生のためにならない)ということです。

とはいえ、15歳の女の子を迎え一緒に暮らしていくべき準備は必要で、これまではハード面の準備をしてきましたが、ソフトの部分、つまり実際の生活の中にあるルールや考え方を一度整理する必要があると考えました。

僕とトム(妻)が一緒に暮らしはじめて10年近く、話し合いはもちろん、「どうやらこれをやると相手は気分悪そうだぞ」とか「これはお互いにOKだね」みたいな空気の読み合い、時にはケンカを経て、今の暮らしは形成されています。不文律と暗黙知の塊です。これを明文化して第三者と共有できるように準備する、というわけです。

また、現時点で僕たちの生活には存在しないもの、例えば15歳という年齢の女性に対して必要となる決まり事、約束事といったものが、我が家は娘が幼いこともあって存在しないため、それも決める必要がありました。

ただ、これを何の手がかりもない状態で進めるのは困難なので、AFSがホストファミリーに提供している冊子にある以下のような項目を参考に、僕とトム(妻)で話し合いながら整理していきました。

  • ホストファミリーの呼び方(お父さん、お母さんなど)
  • 起床や朝食の時間(平日、休日)
  • 自室は一人で使うのか、誰かと共有するのか
  • 自室の管理はどの範囲で行うのか
  • 門限はあるか
  • 家の鍵は所持できるか
  • 冷蔵庫を自由に使ってよいか。中の食料を自由に食べてよいか
  • 調理道具やガスコンロ、電子レンジ等は自由に使ってもよいか
  • ゴミの出し方
  • テレビは自由に見てもいいか
  • 入ってはいけない部屋はあるか
  • 家事手伝いの範囲(掃除、洗濯、炊事その他)
  • 夕食の時間
  • 入浴の時間や方法
  • 就寝時間
  • 我が家が大切にしていること

ガイドブック

次に考えるのは、これをどのように留学生に伝えるか、です。

僕の頭にパッと浮かんだのがビジネスホテルの客室に置いてある「ご案内」でした(最近は、印刷物ではなく、テレビに最初に映る画面に表示するホテルも多いようですが)。


画像出典:語りと音楽 花音(かのん)PartII

中身はたいてい、Wi-Fi情報とか朝ごはんの時間、マッサージやクリーニングのサービス、アメニティその他物品の貸出、大浴場の場所と時間、そんな感じだと思いますが、とにかくそれを見れば滞在時に必要とする情報がパッと一覧できます。

僕たちが整理した情報を、ホテルの「ご案内」よろしくaw家での生活をさっくりと紹介できれば、留学生に対して渡す最初のインフォメーションとしてちょうどいいのではないか考えました。

で、できたのがこちら。

aws house guide
超絶シンプルです笑

実際には、留学生と一緒に暮らしながら気づいたことをその都度お互いに伝え、細かな点についてすり合わせていく必要があるのですが、大枠となる情報をいつでも見返せるように印刷物として渡しておいたのは良かったのではないかと思います(その後、エフちゃんが見返しているかどうかは不明ですが笑)。

娘が得ている体験

エフちゃんは4か国語を使うことができます。5つ目の言語として、日本語をただいま猛勉強中。我が家での日常生活に加え、学校での授業やクラスメートたちとのやりとり、テキストブックによる自習、そして週末には日本語学校にも通うという徹底ぶり。帰国する頃にはかなり日本語を習得できていると思いますが、現時点での我が家でのコミュニケーションの9割以上が英語です。

そんな我が家の食卓での会話に、学校で英語の授業を受けているとはいえ7歳の娘はまだ参加することはできません。最初は「何を話してるのか、分からない〜(涙)」と不満を表明していましたが、最近は知っている言葉が聞こえると反応し、ごくごく部分的ではありますが会話に参加するようになってきました。

自分の使う言葉が全く通じない状況で、しかし自分が使えない言葉で自分以外の家族はコミュニケーションを楽しんでいる。寂しい。自分も伝えたいことがある。自分のことも知ってほしい。時間はたっぷりある。言葉を使う以外の方法でやりとりしてみる。何かが通じた気がする。食事の時に聞いた言葉を試しに使ってみる。少し通じて、お互いが笑顔になる。楽しい —

娘はそんな経験を日々たくさん得ているように僕には見えます。

この経験を通じて英語を話せるようになってほしいとか※2、海外での生活を希望する大人になってほしいとか、そういう考えは僕にはありません。この経験が将来、どのようなかたちで発露するのかも全く分かりませんし、想像もできません。

ホストファミリーをしていて、いま留学生と一緒に暮らしてるという話をすると、「素晴らしいですね」と肯定的に受け止める方がほとんどなのですが、AFSは常にホストファミリーをしてくれる家庭を探しています。とにかく足りないのだそうです。素晴らしいと分かってはいても、ほとんどの人はやろうとしない。経験できないわけです。

そんな誰もが得られるわけではない貴重な経験を、彼女が日々得ているのは確かだと思います。

  1. 宗教的、医療的な理由がある場合は、「必要」に該当します。菜食など食に関する主義を受け入れるかどうかは、各家庭の判断になりますが、許容範囲については基本的にホストファミリーとなる家庭が事前に指定することができます。我が家の場合、菜食主義の方の受け入れはできないと最初から断りを入れていました。
  2. ホストファミリーをしていると人に話すと「娘さんの英語の勉強にもなりますね」と話す方が結構多いです。我が家においてエフちゃんとのコミュニケーションの中心となっている僕が英語の勉強をする必要があるのは否定しませんが、娘にとって英語を学ぶ機会になるという考えでホストファミリーをやろうと考えたことはありません。少しズレますが、個人的には、どのような形式であれ幼少期に通う週に1〜2回程度の英会話教室の効果を非常に懐疑的に捉えています。それは英語を覚えることそのものが目的になっているからです(こちらの動画の17分あたりの話が正にそれですね)。目的もないのに、めちゃくちゃ難しい道具の使い方を覚えたいと思う人はあまり多くないのではないでしょうか。この経験を通じて、娘が英語を学ぶ目的を見つけたのであれば、僕は親としてそれを全力て支援するつもりではいます。

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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