柳茶屋キャンプ場グランピング化計画を調べてみた(後編)

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今回は、先日書いた「柳茶屋キャンプ場グランピング化計画を調べてみた」の後編。

前編では、鳥取砂丘未来会議なる組織が立てた「鳥取砂丘エリア 国立公園利用拠点計画」=鳥取県東部唯一の観光地である鳥取砂丘を観光資源として最大限利活用しようという計画の概要を紹介しました。

そして、その計画に含まれている、鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場のグランピング・オートキャンプ場化計画(以下、グランピング場化計画)は、設定されているターゲットや整備コンセプトと合致しないのではないか、グランピング化ありきで計画されているのではないかと疑問を呈しました。

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鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場(以下、柳茶屋キャンプ場)は、地元民のみならず、自転車やバイクのツーリストから愛されている鳥取市営のキャンプ場。

ここを合理的な理由なくグランピング場化するのはいかがなものかと思ったわけです。が、単に文句を言うだけではアレなので、僕の意見(妄想)を書いておきたいと思います。

柳茶屋キャンプ場の問題点

まず、僕から見た現在の柳茶屋キャンプ場の問題点について整理してみます。

3つあります。

1.利用者のマナー

多くのキャンプ場、共通の悩みだと思いますが、最初に挙げたいのはやはりコレ。利用者のマナーの悪さです。もちろん、ごくごく一部の利用者ではありますが。

例えば。

柳茶屋キャンプ場の駐車場は、20台ほど停めると満車になる小さなもの。連休やハイシーズンの週末などは、駐車場のキャパシティを需要がすぐに超えてしまいます。

一度停められても、買い出しなどでキャンプ場を離れるとすぐに別の利用者が車を停めますので、これを嫌ってか、駐車スペースに椅子やカートを置いて占有する利用者が結構いるんです(しかも、幼い子どもにモノを置かせているのが何とも……)。

これまで何度か見かけて注意したんですが、口論になったり、同じ人が後日また同じことをしていたり……。気分を害してまでキャンプしたくないと、柳茶屋キャンプ場に足が向かなくなった大きな理由はコレなんですよね。

また、柳茶屋キャンプ場は利用料が無料にも関わらず可燃不燃問わずゴミを捨てて帰れるのですが、ゴミ置場を散らかしほうだい散らかして帰ったり、ひどい場合だとテントサイトにそのまま放置して帰る利用者もいたり……。ゴミを出して帰れることに感謝こそすれ、迷惑かけても気にならない利用者がいるなんて信じられません。

僕が毎週のように利用していた7〜8年前は、まだ利用者も少なく、キャンプ場もきれいなものでした。キャンプブームで利用者が増えたのはいいことなのですが、やっぱり人が増えるとどうしてもこうした問題が生じてしまいますよね。

2.混雑する

以前はゴールデンウィークでも比較的ゆったりと利用できていた柳茶屋キャンプ場。


(写真は、2013年5月6日(月・祝)柳茶屋キャンプ場。最終日とはいえGWでも閑散)

近年は立錐の余地がないほど混んでいます。

週末もすごい人出で、冬季以外は週末ともなるとかなりの数の利用者のようです。

利用料無料で予約不要、チェックイン/アウトなし、区画なしのフリーサイトキャンプ場なので、しょうがないといえばしょうがないのですが。

3.鳥取砂丘というロケーションを生かせてない

1と2は、どのキャンプ場でも似たような問題を抱えていると思います。

3つ目は、柳茶屋キャンプ場特有のもの。

そう、せっかく鳥取砂丘のそばに位置していて、名前にも鳥取砂丘が含まれているのに、キャンプ場から鳥取砂丘を見ることもできなければ、感じることもできないんです。

景観を悪くしている理由として防砂林(ぼうさりん)がありますが、一方で、海からの強い風や飛んでくる砂からキャンプ場を守ってくれてるんですよね。海のそばなのに落ち着いてキャンプできるのは、防砂林のおかげでもあるんです。

awプラン

以上の3つの課題・問題を解決しつつ、より柳茶屋キャンプ場を魅力ある場所にするにはどうしたらいいのでしょうか。

ズバリ、この2つ。

  1. 鳥取砂丘を感じられる、砂丘に近い場所にキャンプサイトを設ける
    → 既存のキャンプサイト+プレミアムサイトの2エリア
  2. 有料化・有人化・予約制を導入

そう、多額のお金をかけてグランピング化しなくてもいいんです。

では、1つ目から見ていきましょう。

砂丘に近い場所にサイトを設ける

現在の鳥取砂丘と柳茶屋キャンプ場の位置関係、こんな感じです。

こうして見ると砂丘のすぐそばにあるように見えますが、北側にある道路から少し低いところにあることと、先述のとおり防砂林もあって砂丘は全く見えません。

そこで、以下の3つのエリアに新たにキャンプサイトを設置します。

どんな場所なのか、実際に歩いて見てみましょう。

候補地1

候補地1となるエリアは、観光地としての鳥取砂丘(東側)と、柳茶屋キャンプ場のある西側の中間あたりに位置しています。

50台以上は停められる駐車場には、トイレもあります。

なんでここにこんなに立派な駐車場があるかと言えば、この候補地1エリアあたりが散策路になっているのと(今回初めて知りました)、ここからも砂丘にアプローチできるから、のようです。

散策路を歩いてみると、ところどころ松林の間に小さいながらもテントが張れそうなスペースがあります。

(地面に散乱している黒いモノは、動物の糞ではなく松ぼっくりです)

トイレのある駐車場からほど近く、トレッキング感覚も楽しめるイイ感じの場所でしたが、ここも防砂林の中にあるということで、残念ながら景観はいまひとつ。

加えて、トゲのある植物がいたるところに生息していて、小さな子どもを連れてのキャンプには少し心配です。

候補地2

続いて候補地2。柳茶屋キャンプ場の北側、歩いて1〜2分ほどの松林です。

こちらも100台は置けそうな広い駐車場があります(本来は、近くにある鳥取県営こどもの国の第四駐車場です)。

駐車場奥にある遊歩道を通って松林へアクセスします。

ここにもテントを張れそうな場所がちらほら。

ただし、候補地2は面積が狭く、おそらく張れるテントの数は10ほど。100台分の駐車場があっても宝の持ち腐れかも知れません。

しかし、景観は抜群。

少し高台になっているので鳥取砂丘全体と、その先にある日本海を一望することができます。季節によっては日本海に沈む夕陽なども見えると思いますので、SNS映えすること間違いなし。

海が近いので常に風が吹いており、真夏でも木陰だったら涼しく過ごすことができそうです。

ただし、テントはしっかり設営しないと突風で吹き飛ばされる可能性があり、料理が砂まみれにならないような工夫が必要ですが。

候補地3

候補地3は鳥取砂丘の西側にある、比較的大きな防砂林です。

が、ここは入り口自体がチェーンで封鎖されていました。

関係者以外立ち入り禁止(地主)とのこと。

残念。

– – –

候補地1から3まで見てみました。

まとめると、こんな感じになりますね。

候補地
1 2 3
駐車場


トイレ ×
流し等の設備 × ×
砂丘体感度
(100点満点)
40点 90点

必要な設備は整備すればいいわけですからその有無はひとまず置いといて、今回重視したいのはやはり「砂丘体感度」。

新たに追加するべきキャンプサイトは「「候補地2」ですね。

ここを柳茶屋キャンプ場の上位サイト(プレミアムサイト)扱いとして、既存の柳茶屋キャンプ場と差別化します。

有料化・有人化・予約制

もうひとつ、awプランに欠かせないのが有料化・有人化・予約制の導入。

現在、柳茶屋キャンプ場の利用料は無料。キャンプサイト、トイレや流し、BBQ施設が無料、無届け(*1)で利用でき、ゴミ出しも可能です。シルバー人材の方が清掃やメンテナンスをしてくれていますが、基本的には専属のスタッフは不在。チェックイン/アウトの時間もなく、区画が決まっていないフリーサイトです。

こうした条件から人気を集め、連休や週末は利用者でごった返し、マナーの悪化が見られているのは先に書いたとおりです。

素晴らしい環境を共有財産として市民に無料で開放する鳥取市の姿勢は素晴らしいと思うのですが、個人的には、今すぐにでも有料化するべきだと思っています(*2)。

サービスには、それなりの対価を支払うのは当然ですし、受益者負担のモデルに転換したとしても問題のない類の行政サービスだと考えているからです。

(料金案)

プレミアムサイト 既存のサイト
キャンプ 大人 2000円 大人 1000円
子ども 1000円 子ども 500円
デイキャンプ 大人 1000円 大人 500円
子ども 500円 子ども 300円

有料化することで、利用者の数をある程度抑制でき、それに伴ってマナーの悪さも低下すると考えられます。

人数制限をさらに強化するため予約制を敷き、チェックイン/アウトの時間も定めます。

区画はあえて決定せずフリーサイトとし(*3)、利用者が各自のサイトをゆったりとつくれるよう、予約数でコントロールします。

有料化と予約制を導入するためには、有人化が必須です。

決済や受付のための有人化ではなく、専属スタッフが常駐することで清掃やメンテナンスを今以上に行き届かせ、迷惑行為をその場で指摘するなど、さらなる状況の改善を目指すためのもの。料金に見合ったサービスを提供するためです。

予約は全てネット経由(Facebookチェックインによる個人認証あり)(*4)、決済はクレジットによる前払いのみとすることで、専属スタッフは現場業務に集中できます。

専属スタッフには是非超絶キャンプ好きな方になっていただいて、基本的な管理業務だけでなく、柳茶屋キャンプ場をより魅力的にするアイディアをどんどん導入していってほしいですねぇ。

– – –

と、このようなことを考える前に、そもそも候補地2をプレミアムサイトにするだとか、そこでキャンプするだとか、そんなことが可能なのでしょうか。

というのも、鳥取砂丘は国が定める国立公園(山陰海岸国立公園)に指定されているからです。

クリアすべき問題

国立公園や国定公園、都道府県立自然公園などに関する法律に、自然公園法があります。

自然公園法

鳥取砂丘は、この自然公園法に基づいて「特別保護地区」と「第2種特別地域」に指定されています。


画像出典:環境省「山陰海岸国立公園位置図(西側)」(筆者が編集加工しています)

このマップを見る限りでは、今回僕が候補地として挙げた3つのエリアは、(おそらく)「第2種特別地域」に属しているようです。

「特別地域」について、自然公園法第二十条には次のように書かれています。

次の各号に掲げる行為は、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない
—第二十条「特別地域」3項

つまり、環境大臣の許可があれば、「次の各号に掲げる行為」をしてもいいってわけですね。

で、「次の各号」のうち、しょっぱなに掲げられている行為が、どうやらテント設営に当たるようなんです。

工作物を新築し、改築し、又は増築すること
—第二十条「特別地域」3項一号

え? テントを張るのが「工作物の新築」になるの? と疑問に感じるのがふつうの感覚だと思うのですが、あるブロガーの方がこの点について環境省に問い合わせて、その返信をブログに掲載してくださっています(多謝)。

自然公園法では、国立公園の特別地域内の工作物の新築は申請が必要な行為であり、テントを設置してキャンプすることは、厳密には仮工作物の設置として申請が必要な行為となっています。
—出典:IS-AMU Log. 「キャンプの話し

というわけで、国の理解では、テントの設置は工作物の新築になるようですね。

まあ、でも大丈夫です。環境大臣が許可してくれればいいんですから!

ちなみに、「特別保護地区」に指定されている鳥取砂丘の中心部では、「火入れ又はたき火をすること。」は禁止されていますが(自然公園法 第二十一条3項六号)、「特別地域」にはこの一文はないので、もともと焚き火はOKなのかも知れません(*5)。

– – –

最後に私見を述べておきます(これまでも私見ばかりですが)。

自然公園法の第一条に、同法律の目的がこのように書かれています。

この法律は、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とする。

「保護」が真っ先に書かれているので、それが一番大切だということだと思いますし、それは理解します。

しかし。

新しく買ったスマートフォンを傷つけないためにカバーを付けて、最後までその美しい姿をほとんど見ることなく手放すことに、なんとなく疑問を感じてしまう僕は、「保護」が過保護になり、利用することも叶わず、少し離れたところから眺めるだけのものになってしまうと、本末転倒のような気がするのです。

続く「その利用の増進を図る」が、文字どおりそうなるといいな〜と思います。

鳥取砂丘未来会議のみなさま

薄暗い寝室、娘が寝ている隣で眠い目をこすりながら調べて書いた記事ゆえ、稚拙さ満載なaw案ではありますが、参考にしていただけますと幸甚でございます。

*1 いちおう利用者は隣接する鳥取市の施設に届け出るよう入り口に書かれていますが、実際にそうしている利用者はおそらく10%もいないでしょう。
*2 以前、そのように鳥取市に提言するメールを送りましたが、華麗にスルーされてしまいました(笑)。なお、有料化することによって、現在保育活動などで利用している森のようちえんといった団体・組織の継続的な利用が難しくなる可能性がありますので、そこは運営側の配慮や措置が必要になってくると思います。
*3 区画の決まったサイト、好みじゃないんですよね(笑)
*4 プレミアムサイトの予約には、より強い個人認証が必要になるかも知れません。
*5 自然公園法 第二十条3項十八号に「前各号に掲げるもののほか、特別地域における風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為で政令で定めるもの」とあり、きっとここに引っかかるんでしょうね。

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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