鳥取砂丘ムーンパーク(TOTTORI SAKYU MOON PARK)

以前、鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場という公営無料キャンプ場のグランピング化計画について、ああだこうだ好き勝手に記事を書きました。2つも。

柳茶屋キャンプ場グランピング化計画を調べてみた(前編)

柳茶屋キャンプ場グランピング化計画を調べてみた(後編)

このグランピング計画、しっかり進んでいたようで、今年の春、「鳥取砂丘キャンプ場(仮称)運営事業(鳥取砂丘西側エリア滞在型観光施設運営事業)※1という名称で公募型プロポーザル※2を鳥取市が実施、4月下旬に優先交渉権者が決定されました。

採用された案として発表されたのが、「鳥取砂丘ムーンパーク(TOTTORI SAKYU MOON PARK)」です。

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7月に基本協定および貸付契約の締結、9月1日に既存施設などの引き渡し、そして来年、2023年春の開業を目指すという「鳥取砂丘ムーンパーク(TOTTORI SAKYU MOON PARK)」(以下、「本計画」)をさらっとチェックしてみたいと思います。

計画の概要

この記事ではざっくりとした紹介になりますので、本計画の詳細を知りたい方は、発表されている資料をご覧いただければと思います。

鳥取といえば、宇宙! ナンデス

まず本計画の名前を見れば分かるとおり、「月にある公園」がテーマのようです。

砂丘を月面に見立て、月を体感・体験できるような滞在型の観光施設を標榜しているわけなのですが、これは、2007年にGoogleが開催した月面探査レース「Google Lunar XPRIZE(GLX)」に参加した日本のチームHAKUTOが、月面探査車の実験の場所として”月に似ている”という理由から鳥取砂丘を選んだことに端を発します※3(結局、HAKUTOは探査車を打ち上げることができず、2018年にGLXはレース勝利者のないまま終了することとなりました)。

また、2011年に鳥取県鳥取市出身の岡島氏という起業家が「人工流れ星」のベンチャー企業「ALE」を立ち上げるなど、鳥取(の一部界隈)が宇宙というキーワードで盛り上がった時期があったんです。

その微細な動きを鳥取県(というか平井県知事)が見逃すはずもなく。

谷口ジロー、水木しげる、青山剛昌という3名の漫画作家が鳥取県出身ということで「まんが王国とっとり」を名乗る鳥取県です。「鳥取といえば宇宙産業!」ということで、「とっとり宇宙産業チャレンジ事業」を推進、「鳥取砂丘月面化プロジェクト」という企画も検討されているとか※4

こうした流れ、動きにあわせるかたちでアイディアを膨らませていったであろう本計画、審査委員からも「行政の取組と合っている」と評価されたようです。

3つのエリア

さて、本計画は3つのエリアに分けて開発されるようです。

  1. ムーンパークターミナルエリア
    現サイクリングターミナルを改装。砂丘エリアでのアクティビティの窓口となるほか、スペース(宇宙対応)モバイルユニットなる宿泊用コンテナハウスやサウナ、カフェやコワーキングスペースなどを設置
  2. ムーンフォレストグランピングエリア
    既存のキャンプ場(柳茶屋キャンプ場)と、その西側のエリアを含む32,000平米の松林にドームテントなどを10基、設置
  3. こどもの国キャンプ場エリア
    現こどもの国のキャンプ場には、フリーテントサイトとRVパークをそれぞれ25サイトずつ設置。「こどもの国」と切り離しての運営となる


Googleマップで見る

この記事の冒頭で引用した2つの記事の中で僕が書いた貧乏くさいプランとは違って、ビシッとお金をかける感じですね。

以下では、本計画を紹介しながら、個人的感じたことを3つのエリアごとに書いてみたいと思います。

ただし、本計画の中心的テーマである「月」については、それをどう実現するのかが分からない(資料では「AR、VRを駆使」といった表現にとどまる)のと完全に専門外なので、あくまで一キャンパー目線での評価となることをご了承くださいマセ。

ムーンパークターミナルエリア

ここに設置される予定の「スペースモバイルユニット」は、「宇宙有人基地を想定し、南極地域における居住基地として開発した南極移動基地ユニット」だそうです。


画像出典: JAXA

こんなスゴそうな施設は、ぜひ砂丘のド真ん中に置いてほしいですね。

募集要項に「山陰海岸国立公園の公園事業として、環境省の執行認可が下りる提案とすること。」とあるので無理だと思うのですが、周囲360度、砂しかないという環境で、海に沈む夕陽を眺め、満点の星空の下で夜を過ごし、東にのぼる朝日とともに起きる。

そんな時間を提案できたら、観光客だけでなく地元民も一度は利用したいと思うんじゃないかなぁ。

ムーンフォレストグランピングエリア

本計画の資料からムーンフォレストグランピングエリアの説明に使用されていたイラストを引用します。

鳥取砂丘ムーンパーク/ムーンフォレストグランピングエリア

少し分かりづらいので拡大して確認してみてほしいのですが、四角に引かれた黒い線がグランピング用のドームテントです。ちょうど10基、描かれてますね。

この黒い線の内側の一部が青く塗られています。ここがドームテント外に設置された水周り(キッチン、トイレ、シャワー等)になるようです。

ドームテントの開口部(出入り口)はこの水周り側に設置されると予想しますが、イラストを見ると、この青い部分がだいたいみな下(南)側にレイアウトされています。このあたりは通常、北西の風が吹いているのでそれを避けるためのレイアウトなんだと思いますが、北西の方角にこそ、このエリアの価値があると思うんですよね(何故かについては後述します)。

これらドームテントの一部は、現在キャンプ場として使用されているエリアよりもやや西側に拡張された部分にも配置されています(上に掲載した衛星写真で、茶色い砂地が見える部分が現在キャンプ場として使われているエリアになります)。

その西側、現在はこんな感じです。

鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場の西側の現状2022年

かつては遊歩道、現在は獣道と化した通路によってかろうじて歩くことはできるものの、比較的背の低い木が生い茂っている林になっています。竹林化している箇所も。

鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場の西側の現状2022年

ただ、所々開けた場所もあったりして、かつてはこのあたりまでキャンプ場として使用されてたのかなあと思わせます。街灯(故障中)なんかも立ってたりしますし。

鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場の西側の現状2022年

鳥取砂丘柳茶屋キャンプ場の西側の現状2022年

さて、先ほど「北西に価値がある」と書きましたが、その理由は、日本海に沈む夕陽が望める方角だからです。

鳥取の海キャンの夕陽
こんな夕焼けが望めるはず!

しかし、この雑木林の中にドームテントを設置しても木々が邪魔して夕焼けを見ることは叶わないでしょう。

だったら、木を全部ぶった斬ればいいじゃないか、と短絡的思考の持ち主の僕なんかは考えてしまうわけですが、この柳茶屋キャンプ場は、鳥取砂丘集団施設地区の第9整備計画区※5に位置し、「自然に親しむ拠点として、クロマツ林を活かしたフリーテントサイトを主体とした野営場等を整備すること。」と定められています。

これに従って現在の柳茶屋キャンプ場が整備されていますが、新しく生まれ変わるグランピングサイトも、「クロマツ林を活かし」て整備する必要があるんでしょう(実際はクロマツ林じゃないですが)。上掲のイメージイラストも、現状よりはこざっぱりとした感じになりつつも木々の中にドームテントが設置されています。

こうした事情はありますが、是非、日本海に沈む夕陽が望めるよう、雑木林から突き出るくらいの高さにデッキとドームテントを設置してほしいものです。

こどもの国キャンプ場エリア

こちらのエリアも、資料からイラストを引用しました。

鳥取砂丘ムーンパーク/こどもの国キャンプ場

RVパークが25台、フリーサイトが25張分という情報を元にこのイラストを見ると、Uの字型になっている部分がRVパークになりそうですから、フリーサイトは3の数字がある周辺と予想。

ただ、3の周辺は若干ながら傾斜していてフラットな場所=テント設営の好適地が見た目よりも少ないんですよね(実際、現在のキャンプ場のフラットなテント設営場所は、本計画でRVパーク設置が予定されている水場近くに設けられています)。もともと面積的にそれほど広くないことを考えると、本当に25張りもできるのかな? と少し心配になりますね。

鳥取砂丘こどもの国キャンプ場
白い看板の向こう側がキャンプ場。イラスト内の3の横に描かれている四角形はこの建物です

鳥取砂丘こどもの国キャンプ場
手前がフリーテントサイト、奥に見える建物の右辺りがRVパークに

現在、フリーサイトのキャンプ場として運営されている柳茶屋キャンプ場が上記のとおりグランピング場となることで、いわゆるフツウのテントを使ったキャンプができなくなります。そのユーザーに対しては、こどもの国キャンプ場のフリーサイトでどうぞ、ってことになりそうです。

ちなみに、現在のこどもの国キャンプ場は7〜8月の灼熱期のみオープンなのですが、本計画では通年利用可になるでしょうから、より快適な時期に利用できるようになりそうで、ここは歓迎ポイントです。

RVパークの予定地となっている場所については、現在は棚田状になっているテントサイトであることに加え、こどもの国の最奥のどん詰まりに位置し、周囲を木々で囲われていて景観もそれほど良いわけではないので、ここをどのように整備していくのか注目です。

流し場やトイレなどの水周り施設は、イラストを見る限り、場所の変更はなさそうです(RVパーク予定地の右)。もちろん、設備自体は新しくキレイになると思いますが、フリーテントサイトからはちと遠いかもですね。

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レンガ組の竈(かまど)と簡易な流し台というクラシカル?な水場

水周り施設のそばに、ファイヤープレイスが置かれた広場があります。

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奥に見えるはトイレ、手前にファイヤープレイスと広場

旗の掲揚台があることを考えると、小学校やボーイスカウト等の団体が旗を掲げ、ここでキャンプファイヤーし、それを囲んでフォークダンス……みたいな用途を想定した場所ぽい。

イラストを見ると広場として残されるようにも見えますが、現代的な用途に焼き直したスペースとしてアップデートされるといいですね。

その他、好き勝手に書きました

本計画そのものではなく、行政の募集の内容ややり方に感じたこと(これまでも別件で感じていたこと含む)があるので、これを機会に書いておきます。

料金設定

募集要項に「低廉な料金での利用も可能とするなど、多様な利用者、幅広い年齢層を想定した提案。」とありますが、個人的には「低廉な料金での利用」は不可にしてほしいですね。

無料、あるいは低廉な料金によるサービスには、それなりの利用者が集まりやすいんですよ。僕がここ数年、柳茶屋キャンプ場をほとんど利用しなくなった理由はこれです。

提供されるサービスに対して事業者が設定した利用料を、納得して気持ちよく支払える人が使えばよろしい。

行政は立場上、利用料を下げて色々な人が使えるようにと考えなければならない、これはある程度理解はできるんですが、例えば既存のキャンプ場等の施設管理を民間に委託する際も、「民間事業者等の創意と工夫に基づいた(中略)運営における質的向上と効率化を図る。」としながらも、利用料は固定でイジらせないんですよね。

経営のど真ん中に位置する価格決定権を委託先に持たせず、「他のことで工夫してね」は違うんじゃないの? と、僕はいつも思ってるわけなのです。

管理者によって利用料がコロコロ変わるのもどうかとは思いますが、サービスが変われば利用料が変わるのは当たり前だし、それを含めての成否じゃないのかな、と思うんですけどね。

事業期間

本計画には事業期間が「10年間とする。ただし、適切な事業運営が行われると認められる場合はさらに最大10年間の更新が可能。」と定められています。

事業をやる際に期限を決めておくやり方もあるんでしょうが、「10年で仕舞えるように事業計画書いてください」という募集の仕方ってどうなの? と思ってしまうんですよね、どうしても。3年後、5年後、10年後にこれを実現する、みたいな事業計画はあっても、10年後に終わるつもりの事業計画とは。

僕のかなり穿った視点で本計画の事業者構成を見ると、この事業期間という要素もあって、なにかしらの匂いを感じてしまうんですが、考えすぎでしょうか。

公募型プロポーザル

本計画と事業者は、公募型プロポーザルで選定されました。

それ自体は問題ないのですが、審査員が7名とごく少数=有識者(学識会議、経済団体、観光団体、若者)そして、関係行政機関職員(環境省、鳥取県、鳥取市)で行われていること、最優秀提案者の案しか公開されないことに強く遺憾の意を表します。

僕個人の「できればこうしてほしい/ほしかった」をまとめると以下のような感じです。

  • 2022年4月20日に行われたプレゼンテーションを公開してほしかった(オン/オフ共に)。録画しているなら今からでも是非!
  • 審査員の名前と参加した立場、審査内容(評点)を公開してほしい
  • せめて、公募でエントリーされた案を公開し、市民が閲覧、できれば投票できるようにしてほしかった
  • せめてせめて、事後でもいいので公募でエントリーされた全ての案を公開してほしい

自分の関心のある事業だけ、公開することを要求したり、投票させてくれなんて言うのは僕の身勝手だと分かってはいるんですけどね。単純にどんな案がプレゼンテーションされていたのか、気になるんですよねぇ。

・・・

いつにもましてテキトーなことをツラツラと書いてしまいました。

僕らキャンパーが「おお!」となるような施設、サービスが展開されることを期待しつつ、来春のその時を待ちたいと思います。

  1. 長い……笑
  2. 本当に「公募」なのかは眉唾ですが……笑
  3. あくまでaw個人の理解です。
  4. 最近は、「サウナ県」としても売り出し中です。
  5. 環境省 「山陰海岸国立公園管理計画書(原案)

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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