薪ストーブについて考えてみた

2011年の原発事故の影響で再生可能エネルギーに注目が集まり、そんなこんなもあって薪ストーブを導入する家が増えたそうです。最近自宅を新築した僕の友人も、薪ストーブを導入しました。

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出典:PLUS CASA *注:上記の友人宅ではありません

薪ストーブは「憧れ」「夢」の道具。これ否定するつもりは全くないのですが、それが優先され先行するあまり、現実の生活で生じる問題が看過されてしまうような気がしています。

僕も「やっぱキャンプハウスには薪ストーブでしょ!」と考えていた時期もありましたが、ここで書いたようなことを考えた結果、現在は計画に含めていません

薪ストーブには寿命がある

意外と忘れがちなのですが、薪ストーブにも寿命があります。使い方にもよりますが、15〜20年ほどが目安とのこと。仮に30年間その家に住むとしたら、一度は買い替えが必要になるということです。

コスト(お金)がかかる

薪ストーブ、結構お金がかかります。主に以下の「イニシャルコスト」「ランニングコスト」「その他のコスト」の3つになるようです。

イニシャルコスト(初期費用)

ホームセンターで買う、などはひとまず除外して、一般的な薪ストーブメーカーのものを買うと想定すると、
導入費用 約100万円 = ストーブ本体 約50万円 + 設置費用 約50万円
という感じだそうです。

ちなみに僕が自宅で使用しているストーブは3万円弱。価格だけで言うと33倍もします。

ランニングコスト(稼働するための費用)

薪ストーブについて書かれたウェブサイトで様々なシミュレーションがなされていますが、仮に薪を購入するとして
1シーズン 15万円前後(薪1束 約500円 × 2.5束/日× 30日 × 4.5か月)
が目安とされています。

ちなみに、我が家の灯油代は1シーズンで3万円前後。約5倍です。

その他のコスト

これはどの道具についても必要なことですが、クリーニングや消耗品の交換、煙突の掃除など、メンテナンスをする必要があります。年に一度、オフシーズンに業者にメンテナンスを依頼するとして、2〜3万円程度かかるようです。もちろん部品交換があればその代金も必要になります。数百度の高温という過酷な状況下で使用される道具ですから、整備を怠るととんでもない危険が生じる可能性があります。蔑ろにすることはできません。

コストまとめ

薪ストーブを導入して最初の10年で必要な経費は、

  • イニシャルコスト 100万円(本体+設置費用)
  • ランニングコスト 150万円(主に薪代 15万円×10年)
  • その他 20万円(定期保守・清掃代 2万円×10年)
  • 合計 270万円

となります。これに加えて薪ストーブ用のアイテムやら何やらで関連出費がありそうです。

もし15年後に薪ストーブがダメになり買い替えが必要になったとしたら。もしその時に車の車検や買い替えが重なったら。子どもに関する出費が必要になったら(まだ子どもはいませんが)。

何が言いたいかと言うと、薪ストーブにかかるコストは比較的長期的な視点で検討し、必要なら積立てくらいしておいてもいいくらいのものではないかと思った、ということです。

ところで、以上の3点の中で節約できる可能性があるのは「薪」ですね。もちろん「薪は自分で調達する」という方もたくさんいます。その点について、あくまで僕目線となりますが、考えてみます。

薪について

僕はキャンプをする時に必ず焚き火をするので、毎回薪を調達して持参します。その量は農業などに使うコンテナ1ケース分くらい、2束弱です。つまり薪ストーブのおよそ1日分の消費量です。

シイタケ栽培している親戚がいて、ホダ木(シイタケの菌床にする木)をつくるために毎年木を伐採しているので、その余りをもらって乾燥させ、手斧で割って薪にしているのです。

昨年の11月に、キャンプ場に約50人集まってのイベントを開催したのですが、その際に用意した薪は18ケース。写真の友人と二人がかりで4時間かかって乾燥した丸太を割って薪にしました。

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18コンテナ(36束)、およそ2週間分の薪というのは、思った以上の量です。チェーンソーと斧による薪割りはかなりの重労働でした。

薪をどう調達するか

書籍や雑誌、ストーブのメーカーサイトやブログなどを見ると、調達に関するいろいろなティップスを見ることができます。「木材を取り扱う業者さんに頼めば貰える」とか、「行政が管理のために山林や河川敷などで伐採した木材を無料で貰う」とか。

しかし、商売の枠組みの外で、他者に依存した仕組みを何十年も間断なく続けるのはなかなか大変そうです。もちろん、逆に、続けていくなかでネットワークが広がり、調達は容易になる可能性もあるとは思います。

僕の場合、月に数回のキャンプで使用する程度なら、ということで親戚から無料で木材を分けてもらっていますが、薪ストーブで年間に使用する薪の量は現在の10倍以上。気軽にお願いできる範囲を超えています。

僕自身が林業に就くか、森林組合で働く知人を入り口として組合そのものと良い関係を継続的に築きつつ木材を提供してもらう、みたいなことが必要だと思います。

木材なら何でも薪になるわけじゃない

調達に関連してもう一つ付け加えておくと、木材なら何でも薪になるわけではない、ということ。基本的には広葉樹のものを使用します。杉や松といった針葉樹や建築廃材などを使用すると、薪ストーブに過度なストレスやダメージを与える可能性があり、メンテナンスにかかる費用を増大させ、結果、薪ストーブの寿命を短くします。

薪をつくるのは大変

十分な量の広葉樹の丸太を定期的に供給してくれるルートが確保できたとして。

調達した木材を、購入した薪ストーブに適した長さにカットして丸太にします。これにはチェーンソーが必要になります。

薪は水分含有量20%以下になるまで、木材を乾燥させてはじめて薪ストーブに使用できる状態となります。できるだけ雨が直接かからないようにしつつ、風を当ててやる。その間、最低でも1年。しっかり乾燥させていないと、薪ストーブを傷める可能性があるのです(見た目に反して結構繊細な道具なんですね)。外でキャンプする時に燃やす薪とは、要求されるクオリティが違うようです。

そして乾燥させた丸太を割って薪にするのですが、これが本当に大変な作業。薪割り機のような道具もありますが、これによりまたコスト増……。

薪を保存する場所を確保

丸太の時に比べ、割った薪は嵩(かさ)が増えます。1.5倍とはいかないまでも、見た目に明らかな違いがあるくらい。ですから、丸太でなく、薪になった時の容量で十分な保存場所を確保する必要があります。

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出典:PADDLER’s LOGBOOK

理想としては薪小屋ですが、ある薪ストーブユーザーのブログを見ると、その想像以上のボリュームに驚きます。いや〜、すごい。

近所への影響

キャンプハウス候補地ではあまり気にする必要がないのかも知れませんが、ご近所さんへの影響はしっかり考える必要があります。知恵袋のようなサイトを調べてみると、「隣りの薪ストーブで困っている」という人がいかに多いか気付かされます。

もし密集した住宅街に建てる家に薪ストーブを導入するならば、できるだけクリーンな煙を排出するタイプのものを選び、且つ上質な薪を使用する必要がありますし、煙突の位置や高さを検討する場合にコストではなく「周囲に迷惑をかけないこと」を最重要視する必要もあると思います。

薪の保存は上記のブログのように自宅敷地内になると思いますが、放火されやすい状況をつくっていると見ることもでき、防犯という視点でのケアも必要になるかも知れませんね。

参考にしたサイト
誰も言わなかった薪ストーブの話
誰も言わなかった薪ストーブの話2
PADDLER’S LOGBOOK
・PLUS CASA 「薪ストーブ導入を検討している方に読んでほしい、薪ストーブの話

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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2件のフィードバック

  1. piropossible より:

    初めまして。
    広島在住で色々とアウトドアアクティビティを楽しんでいるものです。
    焚き火台について調べているところで、偶然awさんのこのブログに
    たどり着きました。
    今は普通に会社員ですが、近い将来田舎で自給自足に近いローコストな
    暮らしを妄想中です。
    薪ストーブについても妄想してましたので、awさんの薪ストーブについての
    考察はとても参考になりました。

    • aw より:

      piropossibleさん、初めまして。コメント、ありがとうございます!

      薪ストーブの記事、お役に立てたようでしたら嬉しいです 🙂

      インスタ拝見しましたが、アクティブな生活を楽しまれてますね! 海でカヤック、釣り、キャンプ、山でスキーのある生活、羨ましいです。個人的には「海辺でソロストーブ×ダッチオーブン、焚き火台でソーセージ」の絵が、雪がちらつく鳥取のアパートの一室で見るには、素敵過ぎました(笑)。

      妄想されているという「近い将来田舎で自給自足に近いローコストな暮らし」、楽しみですね!

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