雪中キャンプ用のショベルについて検討してみた

昨年の恩原湖畔での雪中キャンプでは、テントを設営するための圧雪やスノーペグの埋設・掘り出し、雪に埋もれたテントの救出、雪洞づくりなど、ショベルの出番がかなりありました。

僕を含め参加者の多くが雪かき用のショベルを持ってきていましたが、あとで写真を見ると、丁寧に選ばれたテントやギア、ウェアと一緒に映り込んだそれらに妙に違和感を感じると言いますか。

今後の長いキャンプ人生、雪中キャンプは一度や二度ではないでしょうし、キャンプのギアの一つとして、きちんと考えて選んでおくのも悪くないのかなと思うようになりました。

特に今年は、Party Caveを掘るという大きな目的もありますし!

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キャンプ用ショベルの条件

キャンプ用ショベルの条件をまとめると、以下の4点になりました。

  • カッコイイ
    主観的な条件ですが、やっぱり、そうであるにこしたことはないですよね
  • 軽くて、コンパクトに収納できる
    雪かき用のショベルって結構大きいんですよね。雪中キャンプは荷物が多くなりがちですし、折りたためるなどして、コンパクトに収納できるのがベターです
  • 硬くなった雪も掘れる
    雪中キャンプでは凍った雪を掘ってスノーペグを埋めたりなど、柔らかい雪だけでなく、凍みて硬くなった雪も掘ったりしますので
  • ふだんづかいできる
    鳥取は結構雪が降りますので、冬になるとふだんから除雪用ショベルを車に乗せていて、車がスタックした時などに使います。せっかくなのでこうした場面でも使いたいですね

以上の条件を念頭に、ネット徘徊中に気になった製品をつらつらと眺めてみましたら、以下の一覧のとおり、BC(バックカントリー※)用品メーカーのショベルが並ぶ結果となりました。

キャンプ用品メーカーのショベルは、たいていが小型で、焚き火処理用の剣先スコップのような形状の製品が多く、雪かきに向かないものがほとんどでしたね。

それではさっそく見ていきましょう。

K2 RESCUE SHOVEL PLUS Ice Axe

まずはこちら、スキーやスノーボードなどウィンタースポーツ用品メーカーK2の「RESCUE SHOVEL PLUS Ice Axe」。

材質 – – –
サイズ ハンドル/64cm(収納時/41cm)、ブレード/25×28cm
重量 810g
ハンドルの形状 T型
その他の特徴 アイスアックスとして使える

取り上げた理由としては、ブレードを外してシャフトのエンド部に専用パーツを取り付けることで、アイスアックス(ピッケル)として使えるという点です。

BCで使う人は、シャフトとブレードをバラし、ブレードはザックに収納、アイスアックスをストック代わりに使うのだと思いますが、雪中キャンプでは、氷のように硬くなった雪にスノーペグを埋設するための小さな穴を掘るといった作業に重宝しそうです。去年も翌朝の撤収時、スノーペグを掘り返そうと思ったら雪が氷のようになっていて、掘り出すのに結構苦労したんですよね。

ブレードの形状はかなりフラット。Party Caveを掘ったり、強風からテントを守るための雪壁をつくる(ブロックの切り出し)といった作業もしやすそうです。

また、ブレードの上部が平らになっていて、足で踏み込んで深く掘れるように配慮されたデザインは、地味だけど使い勝手に大きく影響するポイントだと思います。

ただ、ホムセンなどで入手できる雪かき用ショベルの10倍近いお値段には、どうしても腰が引けてしまいますね(笑)。

MAMMUT Alugator Pro 2730-00120 inferno

続いては、登山用品メーカーMAMMU(マムート)の「Alugator Pro(アルゲータープロ)」。

材質 アルミニウム
サイズ 91cm(折りたたみ時68cm)、シャフト/50cm、ブレード/28.5×23.5cm
重量 850g
ハンドルの形状 D型
その他の特徴 シャフトが2段階で身長。ホウ(クワ)としても使える

真っ赤なカラーが雪に映えそうなショベルですね。

まずサイズですが、シャフトが2段階で伸長、最大91cmの長さ。さきほど見たK2のショベルと比べて30cmほど大きく、ふつうの雪かき用ショベルとさほど変わらないサイズになります(最近の雪かき用ショベルにはすごく大きいものもありますが)。

登山、しかもBCのように新雪をラッセルしながら登って行くという過酷なアクティビティでは、軽量化・コンパクト化は大切な要素ですが、キャンプの時はそれよりも使い勝手に重きを置きたいところ。多少大きめな方が、雪かきには使いやすいですよね。

ハンドルの形状も、Alugator Proが採用しているD型のほうが、持ちやすくて力が入り、作業しやすそうです。

ブレードの面を見るとかなり凸凹していますが、これは剛性を高めるためのもの。一方、背面はかなりフラットな形状なので、掘った雪面がなめらかに仕上がります。

またシャフトとブレードを外し、角度を変えて接続することで、ホウ(HOE)、つまりクワ(鍬)としても使えます。

モンベル コンパクトスノーショベル 1124577

お次は国産メーカーモンベルの「コンパクトスノーショベル」。名前のとおり、かなり小さく軽いです。

材質 シャフト・ブレード/アルミニウム合金、グリップ部/ポリカーボネート
サイズ 54~66cm(収納時/38cm)、ブレード面/縦27×幅21cm
重量 525g
ハンドルの形状 T型
その他の特徴 – – –

モンベルの製品全体に言えることですが、やはりこのショベルも、控えめで最小限の意匠。そして製品のポイントが明確で、とにかくコンパクトで軽量にし、携帯性を高めることにフォーカスして開発された製品であることが分かります。

ショベルとしての機能も、Amazonのカスタマーレビューや口コミサイトでの評価を見ても申し分なさそう。

価格もかなり手頃ですし、小さくて軽いので、力の弱い女性や小さな子どもでも扱いでしょうね。

ただ、何と言いますかね、所有欲が動かないと言いますかね。パッと見て「わ! これ欲しい!」とならないんですよね……。ただし、セカンドショベルとして持っておくのには良さそうな製品かなと思います。

ブルーという冷たそうな色が採用された理由は分かりませんが、「真っ赤とかはチョット派手で苦手」といった人にはちょうどいいですね。

Black Diamond ebak7 BD43004

続いては、クライミング用品メーカーのBlack Diamondから「ebak(エバック)7」をピックアップ。

材質 シャフト&ブレード/アルミ、グリップ/二層樹脂
サイズ 組立時/94cm、収納時/66.5cm、ブレード容量/2.65リットル
重量 794g
ハンドルの形状 D型
その他の特徴 スタンダードとホウ(鍬)モードの切り替え

仕様・スペック的には、90センチを超えるサイズ、D型のハンドル、ホウ(クワ)モードも使えるハイブリッド仕様といった点で、MAMMUT Alugator Proとかなり似ています。

動画を見る限りでは、ショベルモードとホウモードの切り替え方は、このエバックのほうがシャフトのネック部分の形状をうまく活かして非常にスマートな方法で実現していますし、重量もこちらが軽く、使用時のサイズはAlugator Proより大きいのに収納時はよりコンパクトになるなど、全体的に完成度が高いように見えます。そして価格は1万円以下……。

ブレードのサイズは公表されておらず、なぜかリットルという単位で示されています。これはチョット分かりづらい(笑)。シャフトの長さなどから想像するに、他社のものとそれほど変わらなそうではありますが。

MSR オペレーター Tショベル 40159

お次は、BC用品メーカーMSRの「オペレーター Tショベル」。

材質 ジュラルミン(硬質アルマイト加工)
サイズ 61.5〜84cm、ブレード/幅25×高さ27.3cm
重量 646g
ハンドルの形状 T型
その他の特徴 フラット且つギザギザのブレード

三角形に近い形状のシャフト、先端が細かいギザギザになっているブレード、直線的なデザイン等、やはりどこか他のメーカーの製品とは一線を画す存在感のMSR製ショベル。

ブレードは、ピットチェック(*)で最大のパフォーマンスを発揮するために、かなりフラットな形状に仕上がっています。600シリーズジェラルミンが使われていて剛性も十分。

このフラットなブレードもあってか、全体的にひとむかし前のCGみたいな雰囲気で(あくまで写真を見た印象ですが)、 RPGの背景にひっそりと置かれたショベルみたいだなと思ったのは、きっと僕だけでしょう(笑)。

あ、いや、質実剛健で働いてくれそうなショベルだとは思ってますよ!

製品名の「Tショベル」にもあるとおり、T型のハンドル。ハンドルがD型になった「Dショベル」もあります。

bca Dozer Hoe Shovel

終わりに近づいてまいりました。続いてはBCの専門用品メーカー、bca(Backcountry Access)のDozer Hoe Shovel(ドーザー・ホウ・ショベル)。

材質 6065/7075aluminum
サイズ 47〜81.1cm、ブレード/幅25×高さ28cm
重量 936g
ハンドルの形状 T型
その他の特徴 ノコギリ付属

ドーザーとはブルドーザー、ホウは何度か出てきましたがクワのこと。さらに、この製品はシャフトに格納できるノコギリが付属しています。木の枝や硬く締まった雪を切り出すためのアイテムです。

bcaはBCに特化したアイテムを開発・リリースしているメーカー。このショベルも雪を掘る、切り出すといった作業に加え、雪崩で埋まった人を助け出すという目的も強く意識してデザインされています。

もちろん、他のメーカーのショベルにもそうした用途は想定されていますが、例えば、他のメーカーと異なる点として、bcaのショベルのブレードの先にはほぼ凹凸がありません。これは埋まってしまった人を傷つけないようにという配慮です。

また、ホウモードはT型のハンドルの一方をブレードにセットするのですが(上写真)、ブレードにセットされない側のハンドル(写真の黄色部分)がホウモード時の補助ハンドルとなり、シャフトだけを持って作業するよりも細かな操作が可能になります。

こちらの製品、海外でも販売している業者が少なく(メーカー直販サイトには在庫あり)、日本だとまだ入手できませんが、ルックスの良さやショベルとホウモードの切り替えのスマートさ、そして製品の根底にある思想に刺激を受けて掲載した次第です。

CAPTAIN STAG アルミジョイントスコップ UX-606

最後はキャンプ道具メーカーの製品を。CAPTAIN STAGの「アルミジョイントスコップ」です。

材質 アルミニウム(表面加工:アルマイト)、バッグ/ポリエステル
サイズ 使用時/幅210×長さ650〜820mm、収納時/幅225×奥行き70×長さ390mm(バック収納時)
重量 600g
ハンドルの形状 T型
その他の特徴 専用スタッフバッグ付属

ハンドル、シャフト、ブレードそれぞれのパーツは非常に素朴なデザインですが、ゴールドとブラックのカラーリングが個性的なCAPTAIN STAGのスコップ(*)。

シャフト伸長時は82cmと長いですが、600gと非常に軽量です。ただし、ブレードは小さめ(想定サイズ/21×27cm)。

これくらいのサイズであれば、直火で焚き火した時の炭の処理などにも使えそうです。

3000円という手頃な価格は、やっぱり魅力的ですよねぇ。。

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日常生活の中ではショベルというアイテムの存在感はほぼゼロですが、雪山では生死を分けるアイテムといっても過言ではありません。

雪崩に巻き込まれた人を救出したり、負傷者を運ぶソリとしても使います(ブレードにスキーを付けて)。またテントを風雪から守るために雪でバリケードを築いたり雪洞を掘ったりと、過酷な環境で身を守る場所をつくるためにも使われます。

そんなわけで、当然のことながらメーカーはものすごく真面目に、丁寧に、経験と知識と知恵を投入して、ショベルを開発・生産しています。

今回比較的軽い気持ちで記事を書きはじめましたが、調べるほどにショベルに興味を持ち、どっぷりとはまってしまいました。

この情報を寝かせてもう少し時間をおいてから、どのショベルを買うかあらためて検討し、決定したいと思います。

何を買ったかは、次回雪中キャンプの記事の中でご紹介します!

BC:Backcountry=バックカントリーとは、山野のうち手付かずの自然が残っている整備された区域以外のエリア。 これらの区域でのスキー、スノーボード、キャンプは、バックカントリースキー、バックカントリースノーボード、バックカントリーキャンプと呼ばれ、「バックカントリー」はこれらの略語としても用いられる。(引用:Wikipedia
ピットチェック:雪崩事故を防ぐための、雪の状態の観察方法の一つ。弱層テストとも呼ばれる。雪面から切り出した雪中を段階的に加圧し、その崩れ方から雪崩が発生するかどうかの可能性を判定する
ショベルとスコップの違い:日本のJIS規格では足をかける部分があるものをショベル(シャベルではなくショベルと定義されている)、無い物をスコップと記されている。 西日本地域では、足をかける部分があるものをシャベル、無い小型の物をスコップと呼び、このJIS規格に概ね沿った呼び名で広く使われている。(引用:Wikipedia

aw

Live in Tottori-Pref, JPN. Love Camp, Sandwich, Coffee, Beer and Scotch on the rock. Pursuing Self-Sufficiency Life.

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2件のフィードバック

  1. モト より:

    こんばんは。
    確かにスコップ大切ですよね!
    撤収の時、ペグカチコチ救出作業大変ですもんね…
    鉄、アルミ、雪掻きプラの3本持って行きますが、めーちゃかさばる(T_T)

    • aw より:

      モトさん、コメントありがとうございます!

      そうなんですよね、雪が氷と化していると掘り出すのに一苦労ですよね。。

      それにしてもスコップ3つとはすごいですね。それだけあれば状況に応じて使い分けられますが、おっしゃるように、かさばりますよね。。僕は軽自動車(ジムニー)で、車載スペースにそれほど余裕がないので、さすがにショベル3つは無理ですね(笑)

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